私達が住む佐賀県唐津市は日本海に面しており、唐津の民は海の恵みを受けて生活しています。しかし 海は 時に私達を苦しめます。 玄海灘から吹く強い潮風が、 土地や農地を荒らしてしまうのです。
その潮風から唐津を守るため、 今から400年前に植栽され 、唐津の宝として大切に守り継がれてきた文化遺産それが『虹ノ松原』です。 昭和30年頃までは唐津の人々により保全活動が行われ環境が保たれていましたが、松原の存在意義が薄れた現代では、松原内の環境が悪化し、唐津の海そして松原の美しい景観が壊れ始めています。
その現状を改善し美しい松原を取り戻す為、私達 虹ノ松原活動紹介 チームは地域の宝を次の世代に繋ぐ活動をしています。 「 楽しみながら 学び、そして共有する」を テーマに19年に及ぶ活動の結果、 少しずつ松原の環境が改善され、美しい地域の宝を守る心も芽生えてきています。 どんどん美しくなり、存在意義を高めていく虹ノ松原。
今年の夏休みに日頃の恩返しのつもりで 、 松原にほど近いビーチで行われた海ごみ箱設置会に参加しました。ごみ箱の設置後行われたごみ拾いで感じたのは、ビーチの美しさでした。市民意識が高まり、ごみが落ちていないのです。
会場の近くには大きな看板が設置されており、私達が普段 見ている砂浜は美しい状態に保たれていました。
しかし、海洋ごみが増え続けていると授業で学んだ私達は目の前に広がる海のその先が気になりました。
唐津の先端、波戸岬で行われたクリーンアップ活動にて、目の前に広がる美しいビーチの先に衝撃の光景がありました。それは大量の海ごみです。
そのごみの大半がプラスチックで、私達人間によって生み出されたものでした。 この現状は世界各地で起こっていることでしょう。この現状を少しでも変え、美しい海を取り戻したい。
その思いから私達、唐津南高校 虹ノ松原プロジェクトチーム 海洋研究班は唐津の海の環境保全に取り組んでいます。
環境保全×教育(学び)のコンテンツ作り
私達は唐津市内でプラスチックごみを再生する取り組み 『プレシャスプラスチック』活動を展開し、海洋ごみを削減する行動を広げる活動をされている NPO 法人唐津FARM&FOODと連携を行いました。
プレシャスプラスチックのワークショップでは、海洋プラスチックごみについての考え方や、波戸岬のビーチクリーンやプラスチックごみで作るコースター体験などを通して、 地域で循環していく流れを作ることの重要性について学びました。
環境保全と教育を合わせた活動は私達が今まで行ってきた活動のノウハウを生かすことができると考えました。
早速 今年8月、佐賀県や地元有名企業 を始め、実に50以上の団体を対象に海ごみと教育を合わせたカードゲームCHANGE FOR THE BLUEカードゲーム体験会in唐津をNPO 法人唐津FARM&FOODと実施し、私達が進行しました。
世代を超えて地域を、そして環境について楽しみながら学ぶ事ができたこの経験は今後の財産になりました。 この体験会で 感じたのは、官民が連携する基盤づくりの重要性です。
子供達の純粋 なアイデアや考えに大人が賛同し、それを応援していく組織づくりを 簡易的に誰でも体感することができるこの活動は唐津のみならず世界 各地で展開することができると考えます。
このモデルプランを世界で共有していく事は特別な施設や経験、予算等は必要ありません。誰でもどこでも何度でもすることができます。
環境保全×サステナブルツーリズム
カードゲーム体験会で知り合うことができた唐津市の離島小川島の先生より連携依頼があり、私達は小川島の海ごみ視察を兼ね、小中学校の子供達と活動を行いました 。
上記動画にもあるように 、小川島の海岸には大量の海ごみが漂着していました。 漁具やペットボトル、そして海外からの漂着ごみも多く見受けられます。
彼らとのミーティングでは、「島に漂着する海ごみを生かして商品を作ろうにも、作り方がわからないし売れる人が島に来ない」や、「島の人だけで清掃活動を行うには限界がある」などの意見が出ました。
環境保全には人材が必要ですが 、離島など限られた環境の中でいかに環境を保全していくのかが重要になります。そこで私達は環境保全とサステナブルツーリズムを合わせるプランを考えました 。
資源である海や山、美しい自然を守るために観光客と地域住民が 一緒にイベントとして清掃活動ができるプランを作ることが重要であると感じています。例えば、小川島にスポットを当てると、高齢化や過疎化が進み清掃活動に限界を感じています。
また、島の伝統を受け継いでいく子供たちの数も減っている現状があります。そこで、島の子供達と連携し、観光客を誘致。『楽しみながら学び、そして共有できる』を合言葉に、観光客と一緒に回収した海ごみを活かしてプレシャスプラスチック活動により世界に一つしかないクラフト作品のワークショップ や、島の文化や食について体感できるサービスの提供。
定期的に島に行けなくてもリピートができる仕組みとして、小川島を訪れる旅行者が唐津で環境保全を行う団体とつながり、交流をしながら カードゲーム で 海洋漂着ごみについて学び、プラスチックごみ の リサイクル 体験するコンテンツとして扱えるような流れを形成していくことができると考えます。
また 環境保護と教育さらに産業を結びつける ため、インバウンド市場にも提案できるプランであると確信しています。先日ウクライナ大使館と連携し、食と文化、ウクライナ支援と 環境保全についてのイベントを行いました。そこでこのプランについて提案したところ、国籍や年齢を問わず評価をいただき実際にこのプランを実践するところまで来ています。
環境保全×サステナブルツーリズムのアイディアが世界2位
日本財団の「海と日本プロジェクト」の一環で、一般社団法人「アトランティック・パシフィック・ジャパン」が主催海洋プラスチック汚染の解決策について考え、創造的なアイデアを提案する「オーシャンリバイバルコンペティション」で小川島(唐津市)の小中学生との交流活動などが評価され、第2位の「優秀賞」を獲得しました。
アトランティックパシフィック スプリングキャンプ
岩手県釜石市で行われたスプリングキャンプにも参加し、外国人を含む同世代の若者と環境問題や災害、リーダーシップについて学びを深めました。