海洋プラ問題にみんなで向き合うきっかけを創るデザイン
2025年6月、NPO法人唐津Farm&Foodは、大阪・関西万博の海洋パビリオン「BLUE OCEAN DOME」にて開催された「Tsushima Week」に参加しました。


対馬の海岸に流れ着いたプラスチックごみを活用した“波絵馬(なみえま)”の制作や展示、トークセッション、ワークショップを通して、地域と世界をつなぐ「循環」と「デザイン」のかたちを表現しました。

対馬の海から、世界へつなぐ“波絵馬”
「Tsushima Project」は、サステナブルアイランドを目指す環境先進地域である長崎県対馬市と金沢美術工芸大学、SARAYA株式会社、ZERI JAPANなどが連携し、海洋ごみ問題や自然共生の取り組みを発信するプロジェクトです。

唐津Farm&Foodは、これまで対馬市とともに現地で海ごみの視察や共創を重ねてきました。

私たちは、対馬の海ごみ問題が解決しない限り、対馬海流の影響を強く受ける唐津の海の問題も解決しないという現実を実感しています。

今回の万博は、単なるイベント参加ではなく、「海の未来をともに築くための一歩」として位置づけています。

海洋ごみのアップサイクルを通じた循環型社会の提案として、対馬で回収されたペットボトルキャップを再利用し、「波絵馬」を制作。
この絵馬には、対馬の島民や来場者が“海の未来を想う”気持ちを込めて、自由に言葉や絵を描きました。

展示期間中には、唐津の離島(馬渡島、小川島、加唐島)の生徒たちによる絵馬も展示され、地域を越えた“想いの連鎖”が広がりました。

トークセッション「おとーしゃと波の想い」
6月21日には、金沢美術工芸大学、SARAYA、唐津Farm&Foodのメンバーによるトークセッション「おとーしゃと波の想い」を開催。

対馬の海を守る神様「おとーしゃ」をテーマに、海洋プラ問題にみんなで向き合うきっかけを創る“ストーリーデザイン”としてこのプロジェクトが展開されてきた背景を共有しました。
環境と文化、アップサイクルと創造の交差点に立つこの取り組みに、多くの来場者が共感を寄せました。




ワークショップ「波絵馬をつくろう」
6月22日には、対馬の海ごみを活用したワークショップ「波絵馬をつくろう」を開催。再生プラスチックを射出成型し、波をイメージした絵馬型に加工。


参加者はそこに“海の未来へのメッセージ”を自由に記入しました。
参加者は「おとーしゃ」のアニメーションを通じて、対馬が抱える海洋ごみ問題の現状を知り、自分自身の言葉で思いを絵馬に託しました。
絵馬が完成するたびに拍手が起こる、笑顔と共感に包まれた時間となりました。


共創の力でひろがる“想いの波”
今回の出展では、対馬市、金沢美術工芸大学、SARAYA株式会社など多くのパートナーと連携。
また、ZERI JAPANやBLUE OCEAN DOMEが掲げる「自然と人との共生」や「サーキュラーエコノミーによる未来づくり」といった理念は、私たち唐津Farm&Foodの取り組みとも深く共鳴しています。

BLUE OCEAN DOMEの建築は、万博テーマ事業プロデューサーである建築家・坂茂氏が監修し、紙管など再生素材を活用した環境配慮型の構造となっています。

ドームの内装や構成には、無印良品(良品計画)執行役員でデザイナーの原研哉氏がWebコミュニケーションや体験設計の分野で参画し、「人と海の循環と共生」を空間全体で表現。

ZERI JAPANが掲げる“ゼロ・エミッション社会”のビジョンを、建築とデザインの両側面から体現した象徴的なパビリオンとなっています。

唐津Farm&Foodの活動に共感した地域の子どもたちも、事前に制作した波絵馬を通じて“参加”という形でこの空間に想いを寄せました。

また、ワークショップで制作された波絵馬は、デジタルでも公開中です。
特設サイトでは年末までの期間、オンラインで“海の未来へのメッセージ”を投稿することができます。ぜひあなたの想いも届けてください。
▶ デジタル波絵馬に あなたの「海の未来への願い」を込め、 大阪・関西万博「BLUE OCEAN DOME」に メッセージを届けよう!

未来へ向けて
今後も私たちは、プラスチック資源の循環や海洋ごみの課題に、地域文化と創造性を掛け合わせながら取り組んでいきます。そして、地域を越えた共創の輪を広げ、“デザイン”と“行動”がつながる持続可能な社会を目指します。