離島の海ゴミを、子どもたちの「島の宝物コースター」に。
佐賀県唐津市の沖合に浮かぶ離島・馬渡島。豊かな自然に囲まれたこの島にも、遠くの国から流れ着いたプラスチックごみが漂着しています。

「海をきれいにしたい」「拾ったごみを、島の宝物に変えたい」─そんな子どもたちの思いから生まれたのが、海ごみアートプロジェクト in 馬渡島「馬渡島の海ゴミをオリジナルコースターに」です。
このプロジェクトでは、
- ビーチクリーンで海岸のごみを回収する
- 環境学習とアップサイクル授業でプラスチック問題を学ぶ
- 馬渡島の生き物や風景をモチーフにしたオリジナルコースターを制作する
- 文化祭で島民に向けて、学びと作品を発表する
という4つのステップを通じて、海ゴミを「地域のストーリーを語るデザイン」に変えていきました。
世界海洋デーにあわせて、特別プログラムを実施
世界海洋デー(World Oceans Day)にあわせ、佐賀県の「プラスマライフさが」事業と連携し、唐津市立馬渡小中学校で特別プログラムを実施しました。舞台は、豊かな自然とあたたかな地域コミュニティが息づく馬渡島です。
午前中は、唐津南高校「虹の松原プロジェクトチーム」の生徒たちと、Jリーグ・サガン鳥栖の社会連携活動「サガン・シャレン!」による講演。 高校生やプロスポーツクラブがどのように環境問題と向き合っているのか、リアルな実践例を通じて学びました。
その後、ペットボトルキャップを素材にしたアップサイクル体験を実施。 島の形をかたどったキーホルダーを制作しながら、「捨てるはずだったものが、想いのこもったプロダクトに変わる」ことを、子どもたちは自分の手で実感していきました。
▶ 当日のプログラム全体の概要は、プラスマライフさが 特別プログラムのページもご覧ください。
田尻海岸で見えた、海洋プラスチックの現実
プロジェクトの出発点は、馬渡島・田尻海岸でのビーチクリーンでした。 発泡スチロールの破片やブイ、漁具、ペットボトルや空き缶といった生活ごみまで、海岸にはさまざまな種類の漂着物が集まっています。
この日は、軽トラック2台分の粗大ごみと、34袋分のごみを回収。 スペシャルゲストとして参加したサガン鳥栖の公式キャラクター・ウィントス君と一緒に、島の子どもたち、地域住民、来島者が力を合わせて砂浜をきれいにしました。
馬渡小中学校では、ふだんから教職員と生徒が定期的にビーチクリーンを続けています。今回はその輪がさらに広がり、 「一緒に取り組めば、海はここまで変わる」 という手応えをみんなで共有する1日になりました。
そして、ただ「捨てる」のではなく、拾ったプラスチックにもう一度役割を持たせたい──その想いが、オリジナルコースタープロジェクトへとつながっていきます。
▶ 午前中のプログラム全体の様子は、こちらのレポートでも紹介しています。
馬渡島の自然を描いた“オリジナルコースター”づくり
海ゴミ × 子どもたちのデザイン = 馬渡島オリジナルコースター
ビーチクリーンで“素材”が集まったあとは、馬渡島オリジナルコースターづくりへ。 教室では、子どもたちがスケッチブックいっぱいに、島の生き物や風景を描いていきました。
モチーフになったのは、
- 島で出会うヤギやイノシシ
- 頭上を舞うトンビ
- 周囲の海を泳ぐ魚たち
- 島に実る果物「元寇」など、馬渡島ならではの自然や文化
こうして生まれた子どもたちの原画をもとに、金型を制作。 ビーチクリーンや回収ボックスで集めたペットボトルキャップを粉砕し、Precious Plastic 唐津のマシンで溶かして射出成形することで、世界にひとつだけのリサイクルコースターが完成しました。
作業の場では、中学生が小学生をやさしくサポートする姿も。 離島だからこそ生まれる「年齢を越えた学び合い」が、海ゴミアートプロジェクトの大きな魅力です。
校長先生からは、 「島に生きる生き物や景色をモチーフにしたコースターを通じて、一人ひとりが環境のことを考えるきっかけになってほしい」 というメッセージもいただきました。
大事なのは、“作って終わり”ではなく、そこからどう広げていくか。
子どもたちは、
- 「生き物がマイクロプラスチックを飲み込まない海にしたい」
- 「ごみを出さない暮らし方を、島から広げたい」
といった想いを、自分の言葉で伝えてくれるようになりました。 その一歩一歩が、馬渡島の自然を未来へつなぐネイチャーポジティブなアクションになっています。
創立150周年の文化祭で、島から世界へメッセージ
「小さな島から始まる、小さな一歩が世界を変える」
2025年10月18日、創立150周年を迎えた馬渡小中学校の文化祭で、子どもたちはこの一年の学びを発表しました。
音楽や劇、アート作品に加えて、海ゴミアートプロジェクトとオリジナルコースターづくりのストーリーも紹介。 大阪・関西万博「対馬WEEK」で取り組んだ波絵馬やデジタル波絵馬のことにも触れながら、離島同士のつながりや、海を介して世界とつながる感覚を、島民のみなさんと分かち合いました。
発表のなかでは、
- 「アップサイクルという言葉を初めて知り、自分たちの島でもできると感じた」
- 「島の環境を守ることは、地球全体を守ることにつながる」
といったメッセージも飛び出しました。
なかでも、
「小さな島から始まる小さなことが、世界を変える力になると思う」
という生徒のスピーチは、会場にいた大人たちの胸にも深く響きました。 海ゴミアートプロジェクトが、単なる「ものづくり」をこえて、島から世界へ向けたメッセージへと広がった瞬間でした。
企業の想いを、サステナブルなカタチに
馬渡島の海ごみアートプロジェクトで生まれたオリジナルコースターは、
- ビーチクリーンと環境学習
- 廃プラスチック回収とアップサイクル体験
- 子どもたちや地域と一緒につくるデザイン
といったプロセスがひとつにつながった、ストーリーを届けるプロダクトです。
企業のサステナビリティ施策・CSR、学校のSDGs/ESD授業、地域イベントなどにあわせて、 ロゴ入りコースターや地域限定デザインなど、規模や内容を柔軟にカスタマイズできます。
▶ Precious Plastic 唐津の全体像は、Precious Plastic 唐津 プロジェクトページ
▶ コースター製作の詳細は、オリジナルコースタープロジェクトのページもご覧ください。
「自分たちの拠点でも、馬渡島のような海ごみアートプロジェクトを実施してみたい」 という企業・学校・自治体のみなさまは、どうぞお気軽にお問い合わせください。