Karatsu Data Bank

グリーンウォッシュのデータ環境表示のルールと実態

稲穂の実る田んぼと、その向こうの山並み
EUの調査で、あいまい・誤解を招く・根拠のない環境主張53.3%2020年の欧州委員会の調査。まったく根拠のないものは40%
日本で環境配慮の内容が外形上明確でない環境ラベル139種類中59種類2026年の消費者庁の実態調査
EUで根拠のない一般的な環境主張の禁止が始まった日2026年9月27日指令 (EU) 2024/825 の適用開始

グリーンウォッシュを、データで並べる

環境に配慮しているかのように見せかける表示や宣伝は、グリーンウォッシュと呼ばれます。このページは、EUと日本の公的機関が環境表示について定めたルールと、表示の実態を調べた数字を、一次資料から並べています。2020年の欧州委員会の調査では、調べた環境主張の53.3%が、あいまい、誤解を招く、または根拠のないものでした。

このページは、NPO法人唐津Farm&FoodがKaratsu Data Bankの一つとして作成しました。結論や評価の言葉は付けず、資料に書かれている数字と文だけを並べています。個々の企業や商品の表示が適切かどうかは扱っていません。行政の処分の事例は、事業者名を本文に書かず、出典のリンクからたどれるようにしています。英語資料の日本語は当法人訳で、原文が優先されます。

項目内容
指令の発効2024年3月26日
加盟国の国内法化の期限2026年3月27日
適用の開始2026年9月27日(すでに製造・流通している商品・包装も対象)
付属書I 4a(どんな場合も禁止)「認められた優れた環境性能」を示せない、一般的な環境主張
付属書I 4c(どんな場合も禁止)温室効果ガスのオフセットを根拠に、温室効果ガス排出の面で製品が環境に中立・軽減・プラスの影響を持つと主張すること(例:「climate neutral」「CO2 neutral certified」「carbon positive」)
付属書I 2a(どんな場合も禁止)認証制度にもとづかない、または公的機関が定めたものでないサステナビリティラベルの表示
指令 (EU) 2024/825(ECGT指令)の主な日付と、どんな場合も禁止される行為(不公正取引慣行指令の付属書Iに追加)。出典:欧州委員会 Q&A(2026年9月)

EU:根拠のない環境表示の禁止(2026年9月27日から)

EUは、消費者のグリーンな移行への参加を後押しする指令 (EU) 2024/825(ECGT指令)で、不公正取引慣行指令を改正しました。欧州委員会の Q&A(欧州委員会 Q&A(2026年9月))によると、指令は2024年3月26日に発効し、加盟国は2026年3月27日までに国内法にすることになっていました。適用は2026年9月27日からで、その日より前に製造・流通した商品や包装も対象です。

どんな場合も禁止される行為として、「認められた優れた環境性能」を示せない一般的な環境主張(付属書I 4a)、温室効果ガスのオフセットを根拠に、温室効果ガス排出の面で製品が環境に中立・軽減・プラスの影響を持つとする主張(付属書I 4c)、認証制度にもとづかない、または公的機関が定めたものでないサステナビリティラベルの表示(付属書I 2a)が加わりました。Q&A は、4c の例として「climate neutral」「CO2 neutral certified」「carbon positive」などを挙げ、製品自体の実際のライフサイクルでの削減にもとづく主張は認められること、会社単位のオフセットの主張には 4c は適用されないことも書いています。

EU:環境主張の実態(2020年の調査)

欧州委員会の Q&A(欧州委員会 Q&A(2023年3月))は、2020年の欧州委員会の調査で、調べた環境主張の53.3%が「あいまい、誤解を招く、または根拠がない」もので、40%は「まったく根拠がない」ものだったと書いています。また、EUで使われている環境ラベルは約230あり、その多さ自体が消費者の信頼を損なうとされたと書いています。

番号基本項目
①あいまいな表現や環境主張は行わないこと
②環境主張の内容に説明文を付けること
③製品のライフサイクル全体を考慮すること
④環境主張の検証に必要なデータ及び評価方法が提供可能で、情報にアクセスが可能であること
⑤製品又は工程における比較主張は LCA 評価、数値等により適切になされていること
環境表示ガイドラインで定める5つの基本項目。出典:環境省「環境表示ガイドライン【令和8年3月版】」

日本:環境省「環境表示ガイドライン」(令和8年3月版)

環境省は2026年3月31日、「環境表示ガイドライン」を改定しました(環境省 報道発表)。ガイドライン(環境省「環境表示ガイドライン」)は、主に自己宣言で環境表示をする事業者と事業者団体を対象とし、製品の取引に直接関係しない事業活動やイメージ広告、企業姿勢の表示も適用範囲に含めています。改定について「令和 8 年 3 月にグリーン・ウォッシュ対策の国際的動向等を踏まえた改定を行いました」と書いています。

ガイドラインは、カーボン・オフセットの主張について、環境省の指針の6つの事項(「自ら排出削減を行わないことの正当化に利用されるべきではない」など)に沿って行うことが望ましいとしています。再生材料やバイオプラスチックをマスバランス方式で表示する場合については、マスバランス方式は「実配合率と一致しない等、実際の利用と比べて環境価値が一見して分かりにくい等の特性がある」ため、製品の特性に応じた表示が必要としています。

調べた項目結果
環境配慮の内容が外形上明確でないラベル139種類中59種類
対象範囲(商品本体か包装か)が明確でないラベル139種類中20種類
原材料の使用割合が数値で示されていないラベル原材料の環境配慮を訴求する62種類中29種類
削減率が数値で示されていないラベル石油由来プラスチック等の削減を訴求する25種類中15種類
インターネット上の環境ラベル139種類のサンプリング調査の結果。出典:消費者庁「環境ラベルに関する実態調査報告書【概要】」
質問回答
原材料の使用割合をどれくらいだと思うか「50%程度以上」73.0%(うち「100%」33.6%)
削減率をどれくらいだと思うか「50%程度以上」80.1%(うち「100%」50.6%)
説明のないラベルの意味「何かしら環境に配慮した「エコ」なものだと思う」55.1%
対象範囲(鉛筆の例)対象に商品が含まれると思う 73.7%
一般消費者1,000名へのアンケートの結果。出典:消費者庁「環境ラベルに関する実態調査報告書【概要】」

日本:消費者庁の環境ラベルの実態調査(2026年8月)

消費者庁は2026年8月20日、景品表示法の観点から環境ラベルの実態を調べた報告書を公表しました(消費者庁 お知らせ、消費者庁 報道発表)。報道発表は、環境ラベルによって実際より著しく環境に配慮していると一般消費者に誤認される場合は、不当表示(優良誤認表示)として景品表示法上問題になるとしています。インターネット上の環境ラベル139種類を集め、事業者等15者と第三者認証ラベルの運営主体3機関に聞き取りを行い、一般消費者1,000名にアンケートを行っています(消費者庁 環境ラベルに関する実態調査)。平成13年に公正取引委員会が環境保全に配慮した商品の広告表示について景品表示法の考え方を示した報告書があり、今回はそれを踏まえて近年の変化を調べたものです。

139種類のうち59種類は、説明が併記されていないなど、環境配慮の内容が外形上明確でありませんでした。例として、化粧品の外箱に「ECO」の文字と木の葉のイラストだけの環境ラベルが挙げられています。原材料の環境配慮を訴求する62種類のうち29種類は使用割合を数値で示しておらず、アンケートでは73.0%が使用割合を「50%程度以上」だと思うと答えました。石油由来プラスチック等の削減を訴求する25種類のうち15種類は削減率を数値で示しておらず、80.1%が削減率を「50%程度以上」だと思うと答えています。聞き取りでは、比較的容易に基準を満たせる第三者認証ラベルだけを取得していると述べる事業者もいました。

日本:「生分解性」の表示への措置命令

環境省の資料(環境省 資料(環境表示について不適切と指摘された事例))によると、2022年12月、「生分解性」をうたう表示をしていた計10社(カトラリー・ストロー・カップ等2社、釣り用品1社、ごみ袋・レジ袋2社、エアガン用BB弾5社)に、景品表示法にもとづく措置命令が出されました。問題とされたのは、使用後に土の中や水中の微生物によって水と二酸化炭素に分解されるかのように示す表示で、資料はBB弾の例を挙げています。2024年2月には、BB弾の事業者5社のうち1社に課徴金納付命令が出されました。個々の事業者と商品は、消費者庁の公表資料(消費者庁の措置命令(2022年12月23日公表)など)で確認できます。

番号原則(英語の原文)当法人訳
1Nature as a whole自然全体
2Avoid and mitigate回避と緩和
3Holistic actions全体的な行動
4Aligned with global goals世界目標との整合
5Mainstreaming主流化
6Collaborative協働
7Adaptive順応
8Transparent透明性
9Just公正
10Measurable測定可能
IUCNがまとめた、企業のネイチャーポジティブの10の原則。出典:IUCN(2023)§2.3

自然と生物多様性についての主張

IUCN(国際自然保護連合)は2023年の報告書(IUCN(2023))で、企業がネイチャーポジティブに取り組むときの10の原則をまとめています。原則2は、影響の回避と最小化に重点を置き、少なくともノーネットロス、できればネットポジティブを目指すとしています。

Nature Positive Initiative は2025年10月6日、「ネイチャーポジティブ」の伝え方についての指針づくりを始めると発表しました(Nature Positive Initiative(2025年10月))。発表は「自然保全に関係するものなら何でもネイチャーポジティブと呼ばれかねず、グリーンウォッシュに流れるおそれがある」とし、意見募集用の草案を2026年初めに出す予定と書いています。2026年7月15日に公表された熊本宣言(熊本宣言、第2回 Global Nature Positive Summit の参加組織による)は、企業の自然への影響を測る標準化された指標や、評価・目標設定・報告の一貫した方法を求めていますが、主張やグリーンウォッシュについての記述はありません。

「海洋プラスチック」をうたう表示

欧州の環境団体 Surfrider Foundation Europe は2022年の報告書(Surfrider Foundation Europe(2022))で、海とプラスチックについての企業の主張を検証し、「海洋プラスチック」をうたう表示は、製品を買うことでプラスチック汚染がきれいになるかのような印象を与えると書いています。海洋プラスチックを素材として再生するときの課題は海洋プラスチックのリサイクルの難しさにまとめています。

よくある質問

Q1. グリーンウォッシュとは何ですか?

環境に配慮しているかのように見せかける表示や宣伝を指す言葉です。この言葉は国によって法律での定義の仕方が違うため、このページでは、EUと日本の公的機関が環境表示について定めたルールと、表示の実態を調べた数字を並べています。

Q2. EUでは、どのような環境表示が禁止されていますか?

指令 (EU) 2024/825 により、2026年9月27日から、「認められた優れた環境性能」を示せない一般的な環境主張、温室効果ガスのオフセットを根拠に、温室効果ガス排出の面で製品が環境に中立・軽減・プラスの影響を持つとする主張、認証制度にもとづかない(公的機関が定めたものでもない)サステナビリティラベルの表示が、どんな場合も禁止されています(欧州委員会 Q&A、2026年9月)。

Q3. 日本では、環境表示のルールはありますか?

消費者庁は、環境ラベルによって商品やサービスが実際より著しく環境に配慮していると一般消費者に誤認される場合は、不当表示(優良誤認表示)として景品表示法上問題になるとしています。環境省は2026年3月に「環境表示ガイドライン」を改定し、5つの基本項目(あいまいな表現をしない、説明文を付ける、ライフサイクル全体を考える、検証のデータを出せるようにする、比較はLCAや数値で行う)を示しています。

Q4. 日本の環境ラベルには、どれくらい説明が不足していますか?

消費者庁が2026年8月に公表した実態調査では、インターネット上の環境ラベル139種類のうち59種類で、環境配慮の内容が外形上明確でありませんでした。原材料の環境配慮を訴求する62種類のうち29種類は使用割合を数値で示しておらず、消費者アンケートでは73.0%が使用割合を「50%程度以上」だと思うと答えています。

Q5. 自然や生物多様性についての主張に、国際的な目安はありますか?

IUCNは2023年に、企業がネイチャーポジティブに取り組むための10の原則(自然全体、回避と緩和、透明性、測定可能など)をまとめています。Nature Positive Initiative は2025年10月、「ネイチャーポジティブ」という言葉がグリーンウォッシュに流れるおそれがあるとして、伝え方の指針づくりを始めると発表しました。

出典台帳

資料発行日付URL取得日
Questions & Answers: Directive (EU) 2024/825 on empowering consumers for the green transition欧州委員会2026-09https://commission.europa.eu/document/download/3c257883-bb2a-4dd9-a6dc-501d587bb34f_en?filename=Q%26A%20ECGT_Directive_Sept%202026.pdf2026-10-19
Questions and Answers on European Green Claims欧州委員会2023-03-22https://ec.europa.eu/commission/presscorner/api/files/document/print/en/qanda_23_1693/QANDA_23_1693_EN.pdf2026-10-19
環境表示ガイドライン【令和8年3月版】環境省2026-03-31(報道発表)https://www.env.go.jp/content/000390026.pdf2026-10-19
「環境表示ガイドライン」の改定について環境省2026-03-31https://www.env.go.jp/press/press_03660.html2026-10-19
環境ラベルに関する実態調査報告書【概要】消費者庁2026-08-20https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/survey/assets/representation_cms216_260820_03.pdf2026-10-19
「環境ラベルに関する実態調査報告書」の公表について消費者庁2026-08-20https://www.caa.go.jp/notice/entry/0472132026-10-19
環境ラベルに関する実態調査報告書の公表について(報道発表資料)消費者庁2026-08-20https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/survey/assets/representation_cms216_260820_01.pdf2026-10-19
資料3別紙「環境表示について不適切と指摘された事例」環境省記載なしhttps://www.env.go.jp/content/000345669.pdf2026-10-19
釣り用品の販売事業者に対する景品表示法に基づく措置命令について消費者庁2022-12-23https://www.caa.go.jp/notice/entry/031584/2026-10-19
Nature positive for business: Developing a common approachIUCN(国際自然保護連合)2023https://portals.iucn.org/library/sites/library/files/documents/2023-023-En.pdf2026-10-19
Demonstrating Nature Positive Outcomes: building consensus on how to communicate nature's recoveryNature Positive Initiative2025-10-06https://www.naturepositive.org/news/latest-news/demonstrating-nature-positive-outcomes/2026-10-19
The Kumamoto Ambition for a Nature-Positive Future(熊本宣言)第2回 Global Nature Positive Summit 参加組織(掲載:Nature Positive Initiative)2026-07-15https://www.naturepositive.org/news/other/kumamoto-declaration/2026-10-19
Fifty Shades of Ocean (Plastic) Washing: A review of the most widely-made claims on plastics and the oceanSurfrider Foundation Europe2022-11https://sfe-pt.surfrider.eu/wp-content/uploads/2023/06/Fifty-shades-of-Ocean-plastic-washing_Briefing_Surfrider-Europe_EN_20221125.pdf2026-10-19

このページで扱っていないこと

個々の企業や商品の表示が適切かどうかの判断は扱っていません。EUの環境主張の立証に関する別の指令案(Green Claims 指令)の現状、日本の課徴金の額、英国・オーストラリアなどほかの国の執行の件数、金融商品のESG表示は、一次資料で確かめられなかったため載せていません。一次資料で確かめられなかった値は載せていません。

このページについて

作成:小嶋宏明(NPO法人唐津Farm&Food 副理事)/お問い合わせ:info@karatsu-f-f.com(お問い合わせフォーム)/公開:2026年10月19日/Markdown版:greenwashing-data.md

このページはAIと一緒に作っています。作り方はこのデータバンクとAIをご覧ください。

関連リンク

▶ Karatsu Data Bank(唐津データバンク)
▶ 海洋プラスチックのリサイクルの難しさ
▶ サーキュラーエコノミーのデータ
▶ ビジネスと生物多様性
▶ Greenwashing in Data (English)