サーキュラーエコノミーを、数字で並べる
サーキュラーエコノミー(循環経済)について、世界・EU・日本・佐賀県の目標と実績を、国際機関の報告書と公的統計から並べたページです。世界経済の循環率は6.9%(2021年の値)、日本の入口側の循環利用率は約17.0%(2023年度、2030年度の目標は約19%)、佐賀県は一般廃棄物のリサイクル率を令和12年度に26.0%にする目標を掲げています。
このページは、NPO法人唐津Farm&FoodがKaratsu Data Bankの一つとして作成しました。結論や評価の言葉は付けず、資料に書かれている数字と文だけを並べています。当法人が計算した値には「当法人計算」と書いています。計算方法や定義が違う数字は、同じ表や同じ系列で比べず、分けて載せています。図から読み取った値は使っていません。唐津市の数字はプラスチックの統計(「唐津の数字」の節)に載せています。
| 規格 | 内容 | 発行日 |
|---|---|---|
| ISO 59004 | 用語、原則、実施の手引き | 2024年5月22日 |
| ISO 59010 | ビジネスモデルとバリューネットワークの移行の手引き | 2024年5月22日 |
| ISO 59020 | 循環性の測定と評価 | 2024年5月22日 |
| ISO 59014 | 二次材料の回収(ISO/TC 207/SC 5 の規格) | 2024年10月1日 |
| ISO 59040 | 製品の循環性データシート | 2025年2月3日 |
定義と国際規格
エレン・マッカーサー財団は、サーキュラーエコノミーを「The circular economy is a system where materials never become waste and nature is regenerated.」(物質が廃棄物にならず、自然が再生されるシステム)と説明しています(エレン・マッカーサー財団)。原則として、廃棄物と汚染をなくす(Eliminate waste and pollution)、製品と素材を最も高い価値のまま循環させる(Circulate products and materials at their highest value)、自然を再生する(Regenerate nature)の3つを挙げています。
国際規格では、2024年5月22日にISO 59004(用語・原則・実施の手引き)、ISO 59010(ビジネスモデルの移行)、ISO 59020(循環性の測定と評価)の3つが発行されました(ISO/TC 323)。ISOのページでは、この3つの規格は改訂の段階(to be revised)に入っています。
世界の資源の使い方
国連環境計画(UNEP)国際資源パネルの「Global Resources Outlook 2024」(UNEP GRO 2024)によると、世界の物質の採掘量は1970年の309億トンから2020年の951億トンに増え、2024年には1,066億トンに達する見込みです(p.26、原文は30.9・95.1・106.6 billion tonnes)。1人あたりでは8.4トン(1970年)から12.2トン(2020年)になりました。報告書は、2060年までに2020年の水準からほぼ60%増えて1,600億トン(160 billion tonnes)になる見通しを示しています(p.xiv)。
同じ報告書は、物質資源の採掘と加工が温室効果ガス排出の55%超と、粒子状物質による健康影響の40%を占めるとしています。土地利用の変化を含めると、気候への影響は60%超になります。バイオマス(農作物と林業)は、土地利用に関わる生物多様性の損失と水ストレスの90%超を占めます。高所得国は低所得国に比べて1人あたり6倍の物質を使い、1人あたり10倍の気候への影響に責任があるとしています(p.xiv)。生物多様性と資源の関係は、IPBESネクサス評価のまとめとビジネスと生物多様性(IPBES)のページでも扱っています。
2025年版から:2018年の値も計算し直した系列。上の6本とは比べられません
世界の循環率
オランダの団体Circle Economyの「Circularity Gap Report」は、世界経済に投入される物質のうち循環した物質の割合(循環率)を推計しています。2018年版は9.1%、2020年版・2021年版・2022年版は8.6%、2023年版・2024年版は7.2%としました。
2025年版は計算をやり直し、2018年の7.2%から、最新のデータの年である2021年に6.9%になったとしています(p.27)。2018年の値が版によって違う(2018年版は9.1%、2025年版は7.2%)ため、このページでは2つの系列を比べていません。2025年版は、世界経済で処理された物質を1,061億トン(106.1 billion tonnes)としています(p.25)。
2026年版「The Value Gap」は新しい循環率を計算しておらず、前の版の6.9%を参照しています(p.12)。代わりに、避けられたはずの経済価値の損失を年に25.4兆ユーロ(±4.7兆ユーロ)と推計し(p.6)、これを世界のGDP 82.6兆ユーロの30.8%にあたるとしています(p.36)。
EUの循環資源利用率と規則
EU統計局(Eurostat)によると、EUで使われた物質のうちリサイクルされた物質の割合(循環資源利用率)は、2010年の10.7%から2024年の12.2%(推計値)になりました(Eurostat)。2020年の循環経済行動計画は、この割合を「今後10年で(in the coming decade)」倍にするとしています(COM(2020) 98)。Eurostatは同じ目標を「2030年までに倍の23.2%にする」と書いています(Eurostatのニュース)。
エコデザイン規則(ESPR)は、2026年7月19日から、附属書VIIに挙げた売れ残りの消費者製品(衣類や靴)の廃棄を禁止しています(第25条1、規則(EU) 2024/1781)。零細・小企業は対象外で、中企業は2030年7月19日から対象になります。包装・包装廃棄物規則(PPWR)は2026年8月12日から適用されています(第71条、規則(EU) 2025/40)。
循環経済法(Circular Economy Act)について、欧州議会の立法の進み具合のページ(2026年9月20日更新)は、状態を「Announced」とし、欧州委員会が2026年第3四半期に提案を公表する計画だと書いています(欧州議会)。欧州委員会のページは「Due for adoption in 2026」としています(欧州委員会)。
| 指標 | 2023年度 | 2030年度の目標 | 点検の判定 |
|---|---|---|---|
| 資源生産性(GDP÷天然資源等投入量) | 約50.9万円/トン | 約60万円/トン | 注意が必要 |
| 一人当たり天然資源消費量 | 約12.1トン(2021年度の値) | 約11トン/人・年 | 注意が必要 |
| 再生可能資源及び循環資源の投入割合 | 約30.1% | 約34% | 注意が必要 |
| 入口側の循環利用率 | 約17.0% | 約19% | 注意が必要 |
| 出口側の循環利用率 | 約43.6% | 約44% | 注意が必要 |
| 最終処分量 | 約1,200万トン | 約1,100万トン/年 | 目標達成見込み |
| 循環経済関連ビジネスの市場規模 | 約70.6兆円 | 80兆円以上 | 目標達成見込み |
日本の目標と実績
国の第五次循環型社会形成推進基本計画(2024年8月2日閣議決定、第五次計画)は、2030年度の目標として、資源生産性 約60万円/トン、入口側の循環利用率 約19%、出口側の循環利用率 約44%、最終処分量 約1,100万トン/年などを掲げています。資源生産性はGDPを天然資源等投入量で割った値、入口側の循環利用率は循環利用量を「天然資源等投入量と循環利用量の合計」で割った値、出口側の循環利用率は循環利用量を廃棄物等発生量で割った値です(p.113〜114)。
中央環境審議会の第1回点検報告書(2026年9月、点検報告書)は、2023年度の値をもとに、最終処分量と循環経済関連ビジネスの市場規模を「目標達成見込み」、そのほかの5つの指標を「注意が必要」と判定しています。出口側の循環利用率は、2013年度の46.1%のあと横ばいから減少です。2023年度の天然資源等投入量は10億9,200万トンで、報告書は「1990年度以降の推計で最も低い値」としています。
計画は「2030 年までに、サーキュラーエコノミー関連ビジネスの市場規模を、現在の約 50 兆円から 80 兆円以上にすることを目指す」と書いています(p.117)。点検報告書の2023年度の値は約70.6兆円です。
ごみの量と処理にかかるお金(全国)
環境省によると、2024年度(令和6年度)の一般廃棄物(ごみ)の総排出量は3,811万トンで、1人1日あたり839グラム、リサイクル率は19.3%、最終処分量は306万トン、最終処分場の残余年数は24.9年でした(環境省 令和6年度)。2023年度(令和5年度)の産業廃棄物の排出量は3億6,725万トンで、再生利用量は2億79万トン(54.7%)、最終処分量は875万トンです(環境省 産業廃棄物)。
市町村などのごみ処理事業経費は、2019年度(令和元年度)の2兆885億円から、2024年度に2兆4,489億円になりました(令和元年度、環境省 令和6年度)。国民1人あたりでは16,400円から19,700円です。2024年度の内訳は、建設改良費5,561億円、処理・維持管理費1兆7,802億円です(p.2)。
法律と計画の節目
2024年5月29日:再資源化事業等高度化法(令和6年法律第41号)公布(e-Gov)。2025年11月21日に全面施行(環境省)
2024年8月2日:第五次循環型社会形成推進基本計画を閣議決定(第五次計画)
2024年12月27日:循環経済への移行加速化パッケージ(循環経済に関する関係閣僚会議)(加速化パッケージ)
2025年6月4日:資源有効利用促進法の改正(令和7年法律第52号)公布。2026年4月1日施行、一部を除く(e-Gov)
2026年4月21日:循環経済行動計画(循環経済に関する関係閣僚会議決定)(循環経済行動計画)
| 区分 | 指標 | 令和5年度(実績) | 令和12年度(目標) |
|---|---|---|---|
| 一般廃棄物 | 排出量 | 251千トン | 228千トン |
| 一般廃棄物 | リサイクル率 | 20.0% | 26.0% |
| 一般廃棄物 | 最終処分量 | 10千トン | 9千トン |
| 一般廃棄物 | 1人1日あたりの家庭系ごみ | 527グラム | 508グラム |
| 一般廃棄物 | 1人1日あたりの焼却量 | 697グラム | 599グラム |
| 産業廃棄物 | 排出量 | 3,128千トン | 3,159千トン |
| 産業廃棄物 | リサイクル率 | 61.2% | 61.8% |
| 産業廃棄物 | 最終処分量 | 97千トン | 87千トン |
佐賀県の廃棄物処理計画の目標
佐賀県の第6次佐賀県廃棄物処理計画(2026年3月、第6次佐賀県廃棄物処理計画)は、令和12年度までに、一般廃棄物のリサイクル率を令和5年度の20.0%から26.0%に、1人1日あたりの家庭系ごみを527グラムから508グラムにする目標を掲げています。産業廃棄物は、リサイクル率を61.2%から61.8%に、最終処分量を97千トンから87千トンにする目標です。
計画は施策として「アップサイクルによる廃棄物の抑制や資源循環に向けた取組の推進」を挙げ(p.16)、「再資源化事業等高度化法、プラスチック資源循環促進法、太陽光パネルのリサイクルに係る法律など、新たな動きを踏まえた施策を展開」すると書いています(p.15)。
佐賀県のごみ処理にかかるお金
環境省の一般廃棄物処理実態調査によると、2024年度(令和6年度)の佐賀県内の市町と一部事務組合のごみ処理事業経費(組合分担金を除く)は141億6,335万円で、うち処理及び維持管理費が117億6,127万円、建設改良費が11億8,976万円でした(環境省 令和6年度)。2023年度(令和5年度)は242億5,018万円で、うち建設改良費が114億343万円です(環境省 令和5年度)。建設改良費の多い年は総額が大きくなります。
佐賀県の1人あたりの額は公表されていません。全国と同じ方法で、2024年度の総額を総人口794,655人(環境省 ごみ処理概要)で割ると約17,823円、処理及び維持管理費だけでは約14,800円です(当法人計算)。全国の1人あたりは19,700円です。
産業廃棄物税
佐賀県は2005年(平成17年)4月1日から産業廃棄物税を課税しています。最終処分施設への搬入は1トンあたり1,000円、焼却施設への搬入は1トンあたり800円です(佐賀県)。2024年度(令和6年度)の収入額は150,043,040円でした(佐賀県税務統計書)。県は税収の使い道として、「リサイクル製品の開発や販路拡大に対する支援の強化」「産業廃棄物の排出抑制・減量化のための施設整備への支援」「リサイクル産業育成のための施設整備への支援」などを挙げています(佐賀県)。
佐賀県認定リサイクル製品
佐賀県は、循環資源(廃棄物や製造過程で発生した副産物、間伐材など)を使って製造された製品を「佐賀県認定リサイクル製品」とする制度を、平成13年(2001年)に設けました(佐賀県)。県のパンフレットは「これまでに190の製品を認定しているところです」とし、認定製品数の約9割をコンクリート2次製品とクラッシャーランの再生土木資材が占めるとしています(佐賀県のパンフレット)。認定の有効期間は3年間で、更新できます。県は、認定製品を公共事業で優先的に使うよう努めるとしています。
よくある質問
Q1. サーキュラーエコノミー(循環経済)とは何ですか?
エレン・マッカーサー財団は「materials never become waste and nature is regenerated」(物質が廃棄物にならず、自然が再生されるシステム)と説明し、廃棄物と汚染をなくす、製品と素材を最も高い価値のまま循環させる、自然を再生する、の三原則を挙げています。国際規格では、ISO 59004:2024 が用語・原則・実施の手引きを定めています。
Q2. 世界の循環率はどのくらいですか?
Circle Economyの「Circularity Gap Report 2025」は、世界経済の循環率を6.9%(2021年の値)としています。同じ報告書は2018年の値を7.2%と計算し直しており、2018年版の9.1%とは計算が違うため、版をまたいで比べることはできません。2026年版は新しい循環率を計算していません。
Q3. 日本の循環経済の目標と現状は?
第五次循環型社会形成推進基本計画(2024年8月2日閣議決定)は、2030年度に入口側の循環利用率 約19%、出口側の循環利用率 約44%、最終処分量 約1,100万トンなどを目標にしています。第1回点検報告書(2026年9月)によると2023年度は入口側 約17.0%、出口側 約43.6%、最終処分量 約1,200万トンで、表の7つの指標のうち、最終処分量と市場規模は「目標達成見込み」、そのほかの5つは「注意が必要」と判定されています。
Q4. 佐賀県はどんな目標を立てていますか?
第6次佐賀県廃棄物処理計画(2026年3月)は、令和12年度までに一般廃棄物のリサイクル率を20.0%(令和5年度)から26.0%に、1人1日あたりの家庭系ごみを527グラムから508グラムにする目標を掲げています。産業廃棄物のリサイクル率は61.2%から61.8%にする目標です。計画のリサイクル率は県の定義で計算されています。
Q5. ごみの処理にはどのくらいのお金がかかっていますか?
環境省によると、2024年度(令和6年度)の全国のごみ処理事業経費は2兆4,489億円で、国民1人あたり19,700円です。佐賀県内の市町と一部事務組合のごみ処理事業経費は141億6,335万円でした。総人口で割ると1人あたり約17,823円(当法人計算)です。
出典台帳
このページで扱っていないこと
唐津市の数字(プラスチックの統計に掲載)、個々の自治体・企業・団体の取り組みの評価、当法人の事業の実績は扱っていません。一次資料で確認できなかった数値と、図から読み取った値は載せていません。Circularity Gap Report の各版の循環率は計算方法が変わっているため、版をまたいで比べていません。英語資料の日本語は当法人訳で、原文が優先されます。
このページについて
作成:小嶋宏明(NPO法人唐津Farm&Food 副理事)/お問い合わせ:info@karatsu-f-f.com(お問い合わせフォーム)/公開:2026年10月15日/Markdown版:circular-economy-data.md関連リンク
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▶ ビジネスと生物多様性(IPBES)
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