Karatsu Data Bank

藻場と磯焼けの統計日本・佐賀県・唐津の面積、原因、ブルーカーボンとお金の流れ

水中で揺れる海藻
佐賀県の藻場の面積1,005ha2018〜2020年度の衛星画像による調査。有明海側を含まない(環境省 生物多様性センター)
日本の藻場の面積164,300ha同じ調査。閉鎖性海域を含まない
唐津市の藻場・漁場の保全活動への交付金7,181,010円令和7年度の決算。国70%・県15%・市15%のうち市の分(唐津市)

藻場と磯焼けを、数字で並べる

藻場(もば)は、海藻や海草が茂る浅い海の場所で、魚や貝が卵を産み、育つ場所になっています。このページは、日本・佐賀県・唐津の藻場の面積、磯焼け(藻場が消えること)の時期と原因、藻場を守る活動にかかっているお金、ブルーカーボン(海の生態系が吸収する炭素)のクレジットを、国・県・市の資料の数字で並べたものです。2018〜2020年度の環境省の調査で、佐賀県の藻場は1,005ha、全国は164,300haでした。

このページは、NPO法人唐津Farm&FoodがKaratsu Data Bankの一つとして作成しました。結論や評価の言葉は付けず、資料に書かれている数字と文だけを並べています。当法人が計算した値には「当法人計算」と書いています。手法が違う調査は、同じものとして比べていません。図から読み取った値は使っていません。

1978年207,615ha
1992年201,212ha
全国の藻場の面積(自然環境保全基礎調査 第4回)。1978年の値は第4回調査の現存藻場面積と消滅藻場面積を足したもの、1992年の値は第4回調査の現存藻場面積。出典:環境省
範囲1978年1992年増減比率
全国207,615ha201,212ha6,403ha減97%
唐津伊万里の海域6,373ha6,366ha7ha減100%
出典:環境省「干潟・藻場・サンゴの減少」(自然環境保全基礎調査 第4回のデータ)

日本の藻場の面積

全国の藻場は、1978年の207,615haから1992年の201,212haへ6,403ha減り、比率は97%でした。唐津伊万里の海域は6,373haから6,366haで、7haの減少でした(環境省)。

2018〜2020年度の環境省の藻場調査は、解像度50cm程度の衛星画像を解析し、全国59海域の現地調査で確かめて藻場の分布図を作りました。東京湾・伊勢湾・瀬戸内海・有明海などの閉鎖性海域を除いた全国の藻場は164,300haでした(環境省 生物多様性センター、環境省)。

調査佐賀県福岡県長崎県全国
第5回(1998年)648ha3,909ha8,394ha145,865ha
藻場調査(2018〜2020年度)1,005ha1,971ha19,095ha164,300ha
2018〜2020年度の値は衛星画像の解析に現地調査を加えた藻場分布図から出したもの。東京湾・伊勢湾・瀬戸内海・有明海及び島原湾・八代海を含まない(佐賀県の値は有明海側を含まない)。第5回までは聞き取り調査などをもとにしており、手法が大きく違うため単純に比べることはできないと資料に書かれている。出典:環境省 生物多様性センター
区分調査区の数面積
現存藻場581,268ha
消滅藻場11ha
佐賀県(唐津・伊万里の海域)の第4回調査。大半を1989年10・11月と1990年3月に調査。前回の調査は1978年ごろ。出典:環境省 生物多様性センター

佐賀県の藻場の面積

2018〜2020年度の環境省の藻場調査で、佐賀県の藻場は1,005haでした。この値は有明海側を含みません。1998年の第5回調査では648haでしたが、資料は手法が大きく違うため「単純に比較することはできません」としています(環境省 生物多様性センター)。

1989〜90年の第4回調査では、佐賀県の現存藻場は58調査区・1,268ha、消えた藻場は1調査区・1haでした(環境省 生物多様性センター)。

佐賀県の「玄海圏域 総合水産基盤整備事業計画」は、玄海の藻場について「藻場面積が約10年前と同等の面積を維持」していると書き、あわせて「局所的な磯焼け」が発生しているとしています(佐賀県)。

時期・場所資料に書かれていること
1990年代・九州大規模な磯焼けが報告された
2000年代・佐賀県の玄海海域比較的小規模な磯焼けが起きるようになった
玄海海域の原因ガンガゼやムラサキウニが高い密度ですみ、海藻を食べている
東シナ海の海面水温平成26年までのおよそ100年間で1.07℃上がった
平成23年度から県の玄海水産振興センターが磯焼けの藻場を戻す方法の開発を始めた
出典:佐賀県玄海水産振興センター「佐賀県玄海海域における藻場回復マニュアル」(平成27年)

磯焼けはいつから、なぜ起きているか

県のマニュアルは、玄海海域の磯焼けの原因を、ガンガゼやムラサキウニの食害としています。ウニを取り除いた試験区では、取り除いてから約2年たったころから大型の海藻が増える傾向が見られました。水温が上がったことで、玄海海域ではガンガゼが増え、魚が海藻を食べる時期が長くなったとも書いています(佐賀県玄海水産振興センター)。

玄海の海の水温の月ごとの値は、玄海の水揚げと海の水温 月次データにまとめています。

県が続けている海藻とウニの調査

佐賀県玄海水産振興センターは、屋形石・波戸・仮屋の3地区で、水深0〜10mの海藻とウニの数を潜水で数える調査を行い、業務報告として公開しています。3地区の藻場は「アラメ、クロメおよび多年生ホンダワラ類からなる混成藻場」と書かれています(令和3年度 業務報告、令和5年度 業務報告)。報告の一覧は佐賀県の研究報告書・業務報告書のページにあります。

事業(担当課)令和7年度の決算額資料に書かれている内容
漁場生産力・水産多面的機能強化対策事業費(水産課)7,181,010円漁業者などの活動組織によるガンガゼ等のウニ類の駆除、漂流・漂着物の除去など。市の負担は15%で、国70%・県15%は直接交付。8,629,000円を令和8年度に繰り越し
離島漁業再生支援交付金事業費(水産課)28,218,000円7つの離島の漁業集落の種苗放流、ガンガゼ駆除、アカウニの中間育成、海藻の試験養殖など
カーボンクレジット創出事業費(環境課)4,598,000円海の生態系由来のカーボンクレジットの事業促進計画の策定。令和6年度に文献調査と潜水による藻場の調査、令和7年度に行動計画(案)を立案
ローカルSDGs創出事業費(環境課)351,940円ネイチャーポジティブシンポジウム参加費 101,160円、ブルーカーボン先進地視察費 250,780円
出典:唐津市「令和7年度 主要施策成果説明書」
活動組織市の交付金(令和7年度)
唐津地区海面環境を守る会1,226,010円
唐津地区海底環境を守る会1,137,600円
湊の海を守る会198,300円
屋形石地区藻場保全活動の会361,200円
浜崎地区海の環境を守る会418,050円
肥前地区海底環境を守る会481,200円
高串地区海面環境を守る会666,450円
大浦浜環境を守る会1,340,250円
鎮西地区藻場保全活動の会445,800円
呼子の海を守る会498,450円
玄界灘を美しくする会407,700円
合計7,181,010円
漁場生産力・水産多面的機能強化対策事業費の市の交付金(負担割合15%分)の内訳。合計は資料の値と一致(当法人で検算)。出典:唐津市

唐津市が藻場と漁場に出しているお金

令和7年度、唐津市は漁場生産力・水産多面的機能強化対策事業費として、11の活動組織の分の交付金7,181,010円を出しました。市の負担割合は15%で、国70%・県15%はそれぞれ直接交付されています(唐津市)。市の分が15%にあたるとすると、国・県・市を合わせた額は約4,787万円です(当法人計算)。

離島の漁業集落への交付金は28,168,000円(事務費を含む決算額は28,218,000円)で、内訳は高島3,111,000円、神集島4,146,000円、向島2,421,000円、加唐島2,067,000円、松島1,380,000円、馬渡島6,742,000円、小川島8,301,000円です。使い道にはガンガゼ駆除のほか、種苗放流やアカウニの中間育成も含まれます(唐津市)。

項目値時点出典
国が算定・報告した藻場・マングローブ林の吸収量約34万t-CO22023年度環境省
Jブルークレジット 令和4年度の認証21件・3,733.1t-CO2令和4年度国土交通省
うち唐津市鎮西町串浦のプロジェクト41.1t-CO2令和4年度国土交通省
唐津湾のワカメ養殖体験のプロジェクト0.4t-CO22025年1月10日認証JBE 管理簿
唐津湾のワカメのクレジットの価格1口(0.1t-CO2)55,000円(税込)2025年1月日本航空
串浦のプロジェクトの名称は「串浦の美しき藻場を未来へ繋げるプロジェクト」。唐津湾のプロジェクトは、からふさ研究会(佐賀玄海漁業協同組合 唐津統括支所の組合員有志)、日本航空九州支社、九州大学、唐津市、唐津市立佐志小学校の申請

ブルーカーボンとクレジット

国は、藻場とマングローブ林が吸収した量を2023年度に約34万t-CO2と算定し、報告しています(環境省)。Jブルークレジットでは、令和4年度に21件・3,733.1t-CO2が認証され、そのうち唐津市鎮西町串浦の藻場のプロジェクトが41.1t-CO2でした(国土交通省)。

2025年1月には、唐津湾のワカメ養殖体験のプロジェクトが0.4t-CO2の認証を受け、1口0.1t-CO2あたり55,000円(税込)で購入者を募りました(日本航空)。全量が売れた場合の代金は22万円です(当法人計算)。クレジットの収入と費用の関係は、自然のクレジットのページにまとめています。

募集期間目標額集まった額人数
藻場のCO2吸収をクレジットにする(予備調査と申請)2025年1月17日〜4月16日1,000,000円202,000円(20.2%)15人
ガンガゼ駆除と母藻の筏で藻場を再生2025年5月9日〜8月6日2,000,000円550,000円(27.5%)23人
どちらも「佐賀県NPO支援」のふるさと納税による、唐津市のNPO法人の寄付募集。出典:ふるさとチョイス(1件目、2件目)

寄付で藻場を戻す取り組み

2025年5〜8月の募集では、目標額200万円の使い道を、ガンガゼ駆除・母藻の筏の設置に50万円、事業管理費に70万円、返礼品代・送料に50万円、県の手数料に30万円としていました。集まったのは55万円でした(ふるさとチョイス)。

よくあるご質問(FAQ)

Q1. 磯焼けの原因は何ですか?

佐賀県の玄海海域について、県のマニュアルは、ガンガゼやムラサキウニが高い密度ですみ、海藻を食べていることを原因としています。水温が上がったことで、ガンガゼが増え、魚が海藻を食べる時期が長くなったとも書いています。

Q2. 日本の藻場はどれくらいありますか?

環境省の藻場調査(2018〜2020年度、衛星画像)では、東京湾・伊勢湾・瀬戸内海・有明海などを除いて164,300haです。1978年から1992年にかけては、207,615haから201,212haへ6,403ha減りました(自然環境保全基礎調査 第4回)。

Q3. 佐賀県の藻場の面積はどれくらいですか?

環境省の藻場調査(2018〜2020年度、衛星画像)では1,005haです。有明海側は含みません。1998年の第5回調査では648haでしたが、手法が大きく違うため単純には比べられないと資料に書かれています。

Q4. 唐津市は藻場を守る活動にいくら出していますか?

令和7年度の決算では、漁業者などの活動組織への交付金(市の負担15%分)が7,181,010円、7つの離島の漁業集落への交付金が28,218,000円、海の生態系由来のカーボンクレジットの計画づくりが4,598,000円でした。

出典台帳

資料発行日付URL取得日
干潟・藻場・サンゴの減少(自然環境保全基礎調査 第4回のデータ)環境省-https://www.env.go.jp/nature/koen_umi/umi02_3.pdf2026-10-27
第4回自然環境保全基礎調査 海域生物環境調査報告書 佐賀県環境省 生物多様性センター1989〜1990年調査https://www.biodic.go.jp/reports/4-12/r290.html2026-10-27
都道府県別藻場面積(藻場調査 2018〜2020年度、第5回 1998年)環境省 生物多様性センター2021https://www.biodic.go.jp/moba/files/02_11.pdf2026-10-27
藻場調査(2018〜2020年度)結果について環境省2021-08-31https://www.env.go.jp/press/109943.html2026-10-27
佐賀県玄海海域における藻場回復マニュアル佐賀県玄海水産振興センター2015https://www.pref.saga.lg.jp/kiji00320179/3_20179_2_mob2015.pdf2026-10-27
佐賀県 玄海圏域 総合水産基盤整備事業計画佐賀県-https://www.pref.saga.lg.jp/kiji00380333/3_80333_245881_up_8rwcbmiy.pdf2026-10-27
ウニ類移植等技術開発試験(令和3年度 業務報告)佐賀県玄海水産振興センター令和3年度https://www.pref.saga.lg.jp/kiji003116451/3_116451_370365_up_03wpwy1v.pdf2026-10-27
令和5年度 業務報告佐賀県玄海水産振興センター令和5年度https://www.pref.saga.lg.jp/kiji00396228/3_96228_370148_up_gbr8wyzc.pdf2026-10-27
令和7年度 主要施策成果説明書唐津市令和7年度https://www.city.karatsu.lg.jp/uploaded/attachment/27438.pdf2026-10-27
ブルーカーボンに関する取組について環境省 地球環境局2026-01https://www.env.go.jp/content/000371388.pdf2026-10-27
グリーンインフラを取り巻く動向等(資料3、p.42)国土交通省 総合政策局 環境政策課2023-12https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/environment/content/001717241.pdf2026-10-27
Jブルークレジット クレジット管理簿 ver5.0ジャパンブルーエコノミー技術研究組合2025-12-19https://www.blueeconomy.jp/wp-content/uploads/jbc2025/20251219MB-JBC.pdf2026-10-27
唐津市におけるブルーカーボンを活用した取り組みがJブルークレジット認証を取得日本航空2025-01-23https://press.jal.co.jp/ja/release/202501/008587.html2026-10-27
ふるさと寄付金で再生した藻場が吸収するCO2をブルーカーボンクレジット化ふるさとチョイス2025https://www.furusato-tax.jp/gcf/38062026-10-27
藻場を再生して水産資源回復とCO2吸収ふるさとチョイス2025https://www.furusato-tax.jp/gcf/39832026-10-27

このページで扱っていないこと

個々の団体・事業の評価、発表資料のグラフから読み取った値、一次資料で確認できなかった数値は扱っていません。洋上風力などの海の開発との関係は扱っていません。

このページのデータの引用・ご相談

このページの数字の引用、共同での調査、唐津での現場の視察についてのご相談は、お問い合わせフォームまたはinfo@karatsu-f-f.comからお寄せください。

このページについて

作成:小嶋宏明(NPO法人唐津Farm&Food 副理事)/お問い合わせ:info@karatsu-f-f.com(お問い合わせフォーム)/公開:2026年10月27日/Markdown版:seaweed-beds-data.md

このページはAIと一緒に作っています。作り方はこのデータバンクとAIをご覧ください。

関連リンク

▶ Karatsu Data Bank(唐津データバンク)
▶ 玄海の水揚げと海の水温 月次データ
▶ 自然のクレジットのページ
▶ Seaweed Beds and Urchin Barrens in Numbers (English)