Karatsu Data Bank

自然のクレジットの収入と費用
誰が払い、誰が受け取っているか

稲刈りのあとの田んぼに翼を広げて降りる白いサギ
生物多様性クレジットの記録された販売額693万米ドル最初の取引からの累計・2026年8月(bloomlabs)
自主的炭素市場の発行に占めるブルーカーボン1%未満うちマングローブが主張された除去の約99%(Calyx Global、2025年11月)
博多港のクレジットの損益分岐価格と販売価格197,897円/8,800円1t-CO2あたり。2023年の論文時点(杉村ほか)

自然のクレジットの収入と費用を、数字で並べる

自然のクレジット(生物多様性クレジット、ブルーカーボンクレジット、森林の炭素クレジット)について、収入と費用、誰が払い誰が受け取っているかを、公的資料と査読論文の数字で並べたページです。自主的な生物多様性クレジットの記録された販売額は、世界全体の累計で693万米ドルです(bloomlabs、2026年8月)。日本のJブルークレジット61プロジェクト・471取引を分析した論文(Kuwaeほか、2026年6月)は、平均単価を1tあたり約400米ドルとし、考察で「クレジットの収入は、実施と認証の費用を賄うには足りないことが多い」と書いています。

このページは、NPO法人唐津Farm&FoodがKaratsu Data Bankの一つとして作成しました。結論や評価の言葉は付けず、資料に書かれている数字と文だけを並べています。当法人が計算した値には「当法人計算」と書いています。報道だけが出典の数字は「報道によれば」と書き、出典台帳でも分けています。日本語は英語資料からの当法人訳を含みます。

言葉・物差しこのページでの意味
自然のクレジットこのページでは、生物多様性クレジット、ブルーカーボンクレジット(マングローブ・藻場など海の生態系の炭素)、森林の炭素クレジットをまとめてこう呼びます。
生物多様性クレジット測定され根拠にもとづく、持続的で追加的な、生物多様性の正の成果の単位を表す証書(Biodiversity Credit Allianceの定義)。
損益分岐価格クレジットの収入で、調査・保全・認証・事務などの費用をちょうど賄える1tあたりの価格。
1件あたりの収入の上限当法人計算。1件あたりのクレジット量×単価。売れ残り・手数料・費用を差し引く前の値で、実際の収入はこれを超えません。
スタッキング同じ区域・同じ活動から、炭素と生物多様性のクレジットを別々に発行すること。
藻場の成果とクレジットの収支別の指標です。藻場の面積や生き物の回復は「成果」、クレジットの収入と費用の差は「収支」で、一方がよくても他方がよいとは限りません。このページが並べるのは収支の数字です。
出典:生物多様性クレジットの定義はBiodiversity Credit Alliance(Issue Paper No.3、2024年5月)、スタッキングはBiodiversity Credit Alliance(2026年7月)による。それ以外は当法人による定義

このページで使う言葉と物差し

このページでは、どの事例にも同じ物差しを当てます。1件あたりのクレジット量に単価を掛けた「収入の上限」と、調査・保全・認証・仲介にかかる「費用」です。表彰を受けた事例かどうかで物差しは変えません。藻場や森が回復したかどうか(成果)と、クレジットの収入が費用を上回るかどうか(収支)は別の指標で、このページが並べるのは収支の側です。

指標数字時点出典
生物多様性クレジットの記録された販売額(累計)693万米ドル2026年8月bloomlabs
同、店頭取引を含めた推定800万〜1,000万米ドル程度2026年5月bloomlabs
同、年別の販売額2024年 208万米ドル/2025年 289万米ドル2026年5月bloomlabs
過去12か月、買い手の需要不足で売れなかったと答えた販売者95%2026年6月Pollination Foundation
自主的な生物多様性クレジットの取引総額(別の推計)200万米ドル未満2026年1月Climate Policy Initiative
自主的な生物多様性クレジットの市場(年)約800万米ドル2023年12月世界経済フォーラム
自主的炭素市場の発行に占めるブルーカーボン1%未満2025年11月Calyx Global
ブルーカーボンの主張された除去に占めるマングローブ約99%2025年11月Calyx Global
販売額はbloomlabsのデータベースに記録された取引の合計で、公表されない取引は含まない。調べた機関・時点によって数字は異なる。WEFの値は2023年時点の推計で、同じ資料の2030年・2050年の値は予測ではなくシナリオ

自然のクレジットの市場はどのくらいの大きさか

市場データを集めているbloomlabsによると、自主的な生物多様性クレジットの記録された販売額は、最初の取引からの累計で693万米ドルです。年別では2024年が208万米ドル、2025年が289万米ドルでした。同社は、公表されない店頭取引を含めると累計は800万〜1,000万米ドル程度と推定しています。52の市場関係者に調査した報告書(Pollination Foundation・bloomlabs、2026年6月)では、販売者の95%が、過去12か月は買い手の需要不足で売れなかったと答えました。

ブルーカーボンのクレジットは、自主的炭素市場でこれまでに発行されたクレジットの1%未満で、主張された除去の約99%がマングローブです(Calyx Global)。海草藻場・海藻藻場を対象にしたクレジットについて、2022年の論文は「ほぼすべてのクレジット制度はマングローブと塩性湿地で実施されてきた」と書き、日本のJブルークレジットの始まりを報告しています(Kuwaeほか、2022年)。Verraは、海藻養殖・ケルプの再生・海底の管理を支える方法論は現在ないとしています(Verra)。

再生可能エネルギー(電力)679,466t
省エネルギー368,134t
森林24,571t
水稲栽培の中干し期間の延長234t
東証カーボン・クレジット市場の累計売買高(2023年10月11日〜2026年9月30日、合計1,132,810t)の主な内訳。森林は約2.2%(当法人計算)。出典:日本取引所グループ
年度認証件数数量(t-CO2・当法人集計)
2020年度1件22.8
2021年度4件80.4
2022年度21件3,733.1
2023年度29件2,170.3
2024年度46件3,178.3
2025年度52件3,089.9
件数はJBEの本文、数量はJBEが公表するプロジェクト別の数量を当法人が年度ごとに合計した値(JBEは年度の合計を公表していない)。出典:ジャパンブルーエコノミー技術研究組合

日本のクレジットはどれくらいの量と値段か

J-クレジットの累計認証量は1,405万t-CO2、登録件数は1,430件です(移行分を含む、第68回認証委員会終了時点。J-クレジット制度事務局、2026年5月)。東京証券取引所のカーボン・クレジット市場では、2026年9月30日までの累計売買高1,132,810tのうち、森林は24,571tでした。加重平均価格は、省エネルギー2,983円、再生可能エネルギー(電力)4,666円、森林5,396円、水稲の中干し期間の延長4,442円です(1tあたり、日本取引所グループ)。

Jブルークレジットは、2025年度に52件が認証され、プロジェクト別の数量の合計は3,089.9tでした(当法人集計)。JBEは公募による譲渡の平均単価の参考値を1tあたり税抜69,000円としています(ジャパンブルーエコノミー技術研究組合、2026年6月29日現在)。論文(Kuwaeほか、2026年)も、平均単価は約400米ドルで、ほかのクレジットより高いとしています。

損益分岐価格(行政費用を含む)197,897円
損益分岐価格(行政費用を除く)129,814円
販売価格(税込・固定)8,800円
博多港(福岡市)のブルーカーボンクレジットの1t-CO2あたりの損益分岐価格と販売価格。販売価格は論文時点(2023年)の固定価格で、現在のJBEの参考平均単価(税抜69,000円)とは時点が違う。出典:杉村ほか(2023)沿岸域学会誌
項目値出典
2025年度の認証件数52件ジャパンブルーエコノミー技術研究組合
2025年度の数量(プロジェクト別の合計)3,089.9t-CO2(当法人集計)ジャパンブルーエコノミー技術研究組合
1件あたりの平均数量59.4t-CO2(当法人計算)当法人計算
公募譲渡の平均単価の参考値税抜69,000円/t-CO2(2026年6月29日現在)ジャパンブルーエコノミー技術研究組合
1件あたりの収入の上限約410万円(当法人計算・全量が平均単価で売れた場合)当法人計算
1件あたりの収入の上限は当法人計算。全量が平均単価で売れた場合の値で、公募手数料や費用を差し引く前。実際の売却額は個別には公表されていない

クレジットの収入は費用を賄えるのか

博多港のブルーカーボンクレジットを対象にした論文(杉村ほか、2023年)は、損益分岐価格を1t-CO2あたり197,897円(行政費用を除くと129,814円)と試算しています。制度の創設費用は1,463.4万円、クレジット量は48.5t-CO2です。論文時点の販売価格は8,800円(税込、固定)で、損益分岐価格はその約22倍、行政費用を除いても約15倍です(倍率は当法人計算)。

Jブルークレジット全体では、2025年度の1件あたりの平均数量は59.4tです。参考平均単価の69,000円で全量が売れたとしても、1件あたりの収入の上限は約410万円です(当法人計算、手数料・費用を差し引く前)。Jブルークレジットの61プロジェクト・471取引を分析した論文(Kuwaeほか、2026年)は、考察で「クレジットの収入は、実施と認証の費用を賄うには足りないことが多い」と書いています。同じ論文は、経済的便益を前面に出すと単価が下がり、多くの主体の連携を前面に出すと購入者数と単価が上がったことも示しています。

事例・資料誰が払い、誰が受け取るか(資料に書かれていること)出典
森林のJ-クレジット(国内)審査費用の多くは国の「費用支援」(例:115万円・135万円・220万円を全額支援)。外部委託費93万円の例。仲介手数料は「クレジット販売売上の0〜50%」という例。販売価格は1tあたり8,000〜10,000円(税抜)。各事例に収支・収入額の記載はない林野庁
Jブルークレジット(国内)公募で売る場合、代金の一部を「実質公募手数料」として精算時に差し引く(率は手数料一覧に記載なし)。公募を使わない場合の発行手数料は税抜10万円ジャパンブルーエコノミー技術研究組合
博多港のブルーカーボンクレジット(国内)調査・保全は福岡市の発注業務で、予算は市の財源。論文は「クレジット収益で賄えない部分は福岡市が負担することで、継続的な保全活動が実施可能」としている杉村ほか、2023年
炭素クレジットの仲介業者(世界)手数料を公開している仲介業者は約10%。公開している業者の平均手数料は15.5%(過小評価の可能性があると注記)Carbon Market Watch
自主的炭素市場の47プロジェクト(世界)多くの場合、収入は主に事業実施者と分けられている。配分の記載を検証できない例が多い(代表的な標本ではないと明記)Öko-Institut
パキスタン・シンド州のマングローブ(報道)報道によれば、クレジット販売額のうち州政府が40%(1,474.7万米ドル)、開発会社が60%(2,525.3万米ドル)。地域社会の取り分は記事に記載がないThe Express Tribune
リベリアの森林(報道)報道によれば、流出した覚書で、ドバイの企業が国土の10%を30年間扱い、クレジット販売額の70%を同社、30%をリベリアが受け取るとされたDaily Maverick
上の5件は一次資料、下の2件は報道(二次)。報道の数字は、契約書や政府資料では確認していない

誰が払い、誰が受け取っているか

国内の森林のJ-クレジットでは、林野庁の事例集に、審査費用の多くが国の費用支援でまかなわれた例、外部委託費93万円の例、販売売上の0〜50%という仲介手数料の例が並んでいます(林野庁)。費用支援の予算の上限に達し、自費での審査に切り替えようとしたが期限が近く審査機関に断られた例も載っています。Jブルークレジットでは、公募で売る場合に代金の一部が手数料として差し引かれます(ジャパンブルーエコノミー技術研究組合)。

世界の炭素クレジットでは、手数料を公開している仲介業者は約10%で、公開している業者の平均は15.5%でした(Carbon Market Watch、2023年)。同団体は、どれだけが気候対策に使われ、どれだけが仲介業者に渡っているかを知ることはできないとしています。報道によれば、パキスタン・シンド州のマングローブのクレジットでは、販売額の40%を州政府、60%を開発会社が受け取りました(The Express Tribune、2024年11月)。

資料書かれていること出典
6か国の自主的REDD+(森林減少の回避)26地点を分析し「大半の事業は森林減少を有意に減らしていない」。18事業で2020年までに発行されうる9,050万のオフセットのうち、追加的な削減と結びつくのは640万(7%)。数字は2024年1月31日の訂正版Westほか、2023年
カリバREDD+(ジンバブエ、VCS 902)発行26,822,953のうち15,220,520が過大発行(約57%、当法人計算)。バッファー5,049,473を取り消し、開発者に同数の補填を求め、未発行の10,083,263を恒久的に除外Verra
IPBES 変革的変化評価(A6)多くの生物多様性オフセットは損失に対処しているように見えるが、遵守や、測定と相殺の複雑さの管理に課題を抱えてきた(確立しているが不完全)IPBES
カリバの割合は当法人計算。West et al. の数字は2024年1月31日の訂正版で、訂正前の発表(約8,900万のうち540万、6%)とは異なる

発行されたクレジットは、主張どおりの効果があったか

6か国の森林保全のクレジット事業を、比較対照の地点と照らし合わせた論文(Westほか、2023年)は、大半の事業は森林減少を有意に減らしていないとしています。18事業で2020年までに発行されうる9,050万のオフセットのうち、追加的な削減と結びつくのは640万(7%)でした。ジンバブエのカリバREDD+では、Verraが2025年9月、発行されたクレジットの約57%にあたる15,220,520を過大発行と認めました(Verra)。

論点書かれていること出典
スタッキングへの立場条件付きで支持。種類ごとに追加性を独立に示す、買い手をまたいで二重に主張しない、別々に販売・償却する。「炭素クレジットの買い手は、同じ区域の生物多様性の成果を同時に主張してはならない」Plan Vivo Foundation
買い手が確かめること登録・償却の仕組みが二重計上・二重主張を防げるか。炭素クレジットに生物多様性を付けて売る場合、生物多様性が測定されているのか記述だけか、独立に検証・償却されるのか価格の上乗せだけかBiodiversity Credit Alliance
藻場の吸収量と国の報告2024年4月、海草藻場・海藻藻場による吸収量を合計約35万t-CO2/年(2022年分)と算定し、国連気候変動枠組条約事務局に報告国土交通省 港湾局
Jブルークレジットの手引き国の温室効果ガス・インベントリとの関係の記載はない。二重計上の確認は「重複した申請・発行・売却がないか」ジャパンブルーエコノミー技術研究組合
炭素と生物多様性の二重計上、藻場の吸収量の国の報告とJブルークレジットの関係について、各資料に書かれていること

炭素と生物多様性の二重計上とは

同じ区域・同じ活動から炭素と生物多様性の両方のクレジットを出すことを、スタッキングと呼びます。Plan Vivo Foundation(2026年6月)は条件付きで支持し、Biodiversity Credit Alliance(2026年7月)は、炭素クレジットだけを買った者は生物多様性の成果を主張してはならないとしています。

国内では、2024年4月に海草藻場・海藻藻場の吸収量(2022年分、合計約35万t-CO2/年)が国連に報告されました(国土交通省 港湾局)。Jブルークレジットの申請の手引き(Ver.2.4、2024年3月)には、国の温室効果ガス・インベントリとの関係は書かれていません(ジャパンブルーエコノミー技術研究組合)。このページでは、二重計上が起きているかどうかは判断していません。

収入 2024〜25年度(初年度)£212,920
収入 2025〜26年度£426,100
支出 生息地の創出(44.6ユニット)£530,000
支出 Natural Englandの事務費(2025〜26年度)£76,306
未使用(2026年3月31日時点)£32,714
英国の生物多様性ネットゲイン(BNG)の法定クレジット。2年間の収入の合計は£639,020で、支出・未使用の合計と一致する(当法人計算)。出典:英国 環境・食料・農村地域省(2026年6月15日)

規制で買い手をつくった英国の例

英国では、開発事業者に生物多様性の10%の純増を求める制度(BNG)があり、ほかの方法がとれない開発事業者のために政府が法定クレジットを売っています。報告書は法定クレジットを開発事業者の「最後の手段(last resort backstop)」と位置づけ、2025〜26年度の収入£426,100について「全体としては比較的低い水準」、制度は「想定どおりに機能した」と書いています(英国 環境・食料・農村地域省)。収入は、リンカンシャーの44.6ユニットの生息地の創出(£530,000)に使われました。

枠組み書かれていること出典
昆明・モントリオール生物多様性枠組 ターゲット19(d)生態系サービスへの支払い、グリーンボンド、生物多様性オフセットとクレジット、利益配分の仕組みなどの革新的な制度を、環境・社会のセーフガードとともに促す生物多様性条約事務局
同 ターゲット19(f)非市場型のアプローチ、母なる地球を中心とした行動を促す。後者の定義には環境機能の非商品化(non-commodification)が含まれる生物多様性条約事務局
IPBES 変革的変化評価(A7)支配的な経済システムは、市場主導の開発・投資・輸出主導の成長を重視し、自然を単一の経済的価値に還元し、関係的価値・内在的価値などほかの価値づけを周縁化する(確立している)IPBES
IPBES ビジネスと生物多様性アセスメント(表SPM.1)行動の一覧(B.2.3・C.2.2)に「高い完全性を持つ生物多様性クレジット」が含まれるIPBES
日本語は当法人訳。原文は出典を参照

国際的な枠組みはクレジットをどう位置づけているか

昆明・モントリオール生物多様性枠組のターゲット19は、同じターゲットの中に、生物多様性オフセットとクレジットを含む革新的な制度(d)と、非市場型のアプローチ(f)の両方を並べています(生物多様性条約事務局)。IPBESの変革的変化評価は、支配的な経済システムが自然を単一の経済的価値に還元しているとしています(IPBES、A7)。IPBESのビジネスと生物多様性アセスメントは、行動の一覧に「高い完全性を持つ生物多様性クレジット」を含めています(IPBES)。

よくあるご質問(FAQ)

Q1. 生物多様性クレジットの市場はどのくらいの大きさですか?

市場データを集めているbloomlabsによると、自主的な生物多様性クレジットの記録された販売額は、最初の取引からの累計で693万米ドルです(2026年8月3日の記事)。公表されない店頭取引を含めると800万〜1,000万米ドル程度と同社は推定しています。Climate Policy Initiative(2026年1月)は取引総額を200万米ドル未満と推計しており、数字は調べた機関によって異なります。

Q2. Jブルークレジットの値段と量はどのくらいですか?

ジャパンブルーエコノミー技術研究組合(JBE)は、公募による譲渡の平均単価の参考値を1tあたり税抜69,000円としています(2026年6月29日現在)。2025年度の認証は52件で、プロジェクト別の数量を当法人が合計すると3,089.9tでした。61プロジェクト・471取引を分析した論文(Kuwaeほか、2026年)は、平均単価を1tあたり約400米ドルとしています。

Q3. クレジットの収入で、藻場や森を守る費用を賄えますか?

Jブルークレジットを分析した論文(Kuwaeほか、2026年)は、考察で「クレジットの収入は、実施と認証の費用を賄うには足りないことが多い」と書いています。博多港の例を試算した論文(杉村ほか、2023年)では、損益分岐価格が1tあたり197,897円、販売価格は8,800円(税込、固定)でした。このページでは、個々のプロジェクトの収支の評価はしていません。

Q4. 同じ場所から炭素クレジットと生物多様性クレジットの両方を出してよいのですか?

Plan Vivo(2026年6月)は条件付きで認めています。種類ごとに追加性を示すこと、別々に販売・償却すること、買い手をまたいで二重に主張しないことが条件です。Biodiversity Credit Alliance(2026年7月)は、炭素クレジットだけを買った者は生物多様性の成果を主張してはならないとしています。

出典台帳(一次資料・査読論文)

資料発行日付URL取得日
How to sell a biodiversity credit?(記録された販売額の累計)bloomlabs2026-08-03https://newsletter.bloomlabs.earth/p/how-to-sell-a-biodiversity-credit2026-10-12
Monthly Market Overview - April 2026(年別の販売額・店頭取引を含む推定)bloomlabs2026-05-07https://newsletter.bloomlabs.earth/p/monthly-market-overview-april-20262026-10-12
Voluntary Biodiversity Credit Markets Report 2026(52の市場関係者への調査)Pollination Foundation・bloomlabs2026-06-12https://pollinationfoundation.org/global-perspectives/nature-markets-20262026-10-12
同報告書の発行元による公表(販売者の95%)Pollination Foundation2026-06https://www.linkedin.com/posts/pollination-foundation_voluntary-biodiversity-credit-markets-report-activity-7470954268250787840-gHI62026-10-12
From growing interest to action: what is shaping corporate uptake of biodiversity creditsClimate Policy Initiative2026-01-27https://www.climatepolicyinitiative.org/from-growing-interest-to-action-what-is-shaping-corporate-uptake-of-biodiversity-credits2026-10-12
Biodiversity Credits: Demand Analysis and Market Outlook世界経済フォーラム2023-12https://www3.weforum.org/docs/WEF_2023_Biodiversity_Credits_Demand_Analysis_and_Market_Outlook.pdf2026-10-12
Blue Carbon: What the rising tide of coastal conservation means for the voluntary carbon marketCalyx Global2025-11-04https://calyxglobal.com/research-hub/research/blue-carbon-what-the-rising-tide-of-coastal-conservation-means-for-the-voluntary-carbon-market/2026-10-12
Kuwae, Watanabe, Yoshihara, Suehiro, Sugimura「Implementation of blue carbon offset crediting for seagrass meadows, macroalgal beds, and macroalgae farming in Japan」Marine Policy 138:104996Elsevier(査読)2022https://doi.org/10.1016/j.marpol.2022.1049962026-10-12
Blue Carbon(方法論の対象)Verra2026-10-12 閲覧https://verra.org/programs/verified-carbon-standard/area-of-focus-blue-carbon2026-10-12
J-クレジット制度について(データ集)2026年5月J-クレジット制度事務局2026-05https://japancredit.go.jp/data/pdf/credit_002.pdf2026-10-12
カーボン・クレジット市場 売買高・価格(2023-10-11〜2026-09-30)日本取引所グループ2026-09-30https://www.jpx.co.jp/equities/carbon-credit/daily/nlsgeu000006ltge-att/TradedPriceandVolume.pdf2026-10-12
Jブルークレジット 認証・発行の一覧(年度別のプロジェクト)ジャパンブルーエコノミー技術研究組合(JBE)2026-10-12 閲覧https://www.blueeconomy.jp/credit/vandi/2026-10-12
各種手数料一覧(2026年6月29日現在)ジャパンブルーエコノミー技術研究組合(JBE)2026-06-29https://www.blueeconomy.jp/wp-content/uploads/jbc2026/20260629JBC-commission.pdf2026-10-12
Kuwae, Suzuki, Furuya「Empirical analysis of project–purchaser dynamics in Japan's blue carbon dioxide removal credit scheme」npj Ocean Sustainability 5:42Springer Nature(査読)2026-06-02https://doi.org/10.1038/s44183-026-00213-12026-10-12
杉村佳寿・阿野貴史・三戸勇吾・岡田知也「ブルーカーボンクレジット活用による藻場保全活動の持続可能性 自治体が関わるクレジットの損益分岐価格についての考察」沿岸域学会誌 36(1):23-31日本沿岸域学会(査読)2023https://doi.org/10.57296/jaczs.36.1_232026-10-12
令和5年度 山の炭素吸収応援プロジェクト 事例集林野庁2024-02https://www.rinya.maff.go.jp/j/sin_riyou/ondanka/attach/pdf/240226-20.pdf2026-10-12
Carbon Market Watch briefing on intermediaries(AlliedOffsetsの調査)Carbon Market Watch2023-02https://carbonmarketwatch.org/wp-content/uploads/2023/02/CMW-briefing-on-intermediaries.pdf2026-10-12
Assessing transparency and integrity of benefit sharing arrangements related to voluntary carbon market projectsÖko-Institut2023-11https://carbonmarketwatch.org/wp-content/uploads/2023/11/Assessing-transparency-and-integrity-of-benefit-sharing-arrangements-related-to-voluntary-carbon-market-projects.pdf2026-10-12
West et al.「Action needed to make carbon offsets from forest conservation work for climate change mitigation」Science 381:873-877(2024年1月31日訂正)AAAS(査読)2023-08-25https://doi.org/10.1126/science.ade35352026-10-12
Verra Acts on Kariba Project: Cancels Excess Credits, Advances Independent ReviewVerra2025-09-23https://verra.org/verra-acts-on-kariba-project-cancels-excess-credits-advances-independent-review/2026-10-12
Linking Biodiversity Credits and Carbon Credits: Clarifying Bundling, Stacking, Stapling, and Related ModelsBiodiversity Credit Alliance2026-07https://www.biodiversitycreditalliance.org/wp-content/uploads/2026/08/BCA_Knowledge-Brief_carbonBD_.pdf2026-10-12
Position statement on stacking biodiversity and carbon creditsPlan Vivo Foundation2026-06-05https://www.planvivo.org/news-insights/position-statement-on-stacking-biodiversity-and-carbon-credits2026-10-12
ブルーインフラの取組について(資料3)国土交通省 港湾局2025https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001864549.pdf2026-10-12
Jブルークレジット認証申請の手引き Ver.2.4ジャパンブルーエコノミー技術研究組合(JBE)2024-03https://www.blueeconomy.jp/wp-content/uploads/jbc2024/20240312_J-BlueCredit_Guidline_v.2.4.pdf2026-10-12
Biodiversity net gain (BNG) statutory credits report: 1 April 2025 to 31 March 2026英国 環境・食料・農村地域省(Defra)2026-06-15https://www.gov.uk/government/publications/biodiversity-net-gain-bng-statutory-credit-reports-2025-to-2026/biodiversity-net-gain-bng-statutory-credits-report-1-april-2025-to-31-march-20262026-10-12
昆明・モントリオール生物多様性枠組 ターゲット19生物多様性条約事務局2022-12https://www.cbd.int/gbf/targets/192026-10-12
IPBES 変革的変化評価 政策決定者向け要約(最終版)IPBES2025-09-11(Zenodo)https://zenodo.org/records/170994002026-10-12
IPBES ビジネスと生物多様性アセスメント 政策決定者向け要約(最終版)IPBES2026-06-16(Zenodo)https://doi.org/10.5281/zenodo.207148902026-10-12

出典台帳(報道)

資料発行日付URL取得日
Monetising Sindh's forest cover by earning carbon creditsThe Express Tribune(報道)2024-11-25https://tribune.com.pk/story/2511686/monetising-sindhs-forest-cover-by-earning-carbon-credits2026-10-12
Dubai carbon trader buys up African forestsDaily Maverick(報道)2023-11-28https://www.dailymaverick.co.za/article/2023-11-28-dubai-carbon-trader-buys-up-african-forests/2026-10-12

このページで扱っていないこと

個々のプロジェクトや地域の収支の評価、グリーンインフラと再生可能エネルギー(IPBESネクサス評価で見る再生可能エネルギーと自然で扱っています)、調査会社による市場規模の予測は扱っていません。一次資料で確認できなかった数値は載せていません。英語資料の日本語は当法人訳で、原文が優先されます。

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作成:小嶋宏明(NPO法人唐津Farm&Food 副理事)/お問い合わせ:info@karatsu-f-f.com(お問い合わせフォーム)/公開:2026年10月13日/Markdown版:nature-credits.md

関連リンク

▶ Karatsu Data Bank(唐津データバンク)
▶ IPBESビジネスと生物多様性アセスメントのまとめ
▶ IPBESネクサス評価のまとめ
▶ Nature Credits: Income, Costs and Who Gets Paid (English)