対馬市は、海ごみの回収・処理にいくら予算を組んでいるか
長崎県対馬市は、令和8年度の当初予算に「海岸漂着物等地域対策推進事業」として3億1,000万円を計上しています。内訳は、漂流・漂着ごみの回収・処分経費等が2億6,820万円、モニタリング調査事業が1,749万円、発生抑制対策事業が2,431万円です(対馬市「令和8年度の予算(対馬市のしごと)主な事業 衛生費」)。令和5年度と令和6年度は3億円、令和7年度は3億1,000万円でした。対馬市の予算の説明(対馬市のしごと)では、事業の目的を「地域住民などにより回収した漂着ごみの処理を適正に行うと同時に、国内外に向けた発生抑制対策事業を実施」するとし、回収した漂着ごみの一部(発泡スチロールや硬質プラスチック)をペレット・チップに減容化して処分経費を減らすと書いています。
このページは、NPO法人唐津Farm&FoodがKaratsu Data Bankの一つとして作成しました。海岸に流れ着いたごみ(海ごみ)を拾い、運び、処分するお金を、誰がどれだけ出しているかを、環境省・財務省・対馬市・佐賀県の公表値のまま並べています。結論や評価の言葉は付けていません。並べ替えと計算をした箇所には「当法人」と書いています。全国の補助金の予算の推移と1トンあたりの費用は海洋プラスチックのリサイクルのデータに、回収量と参加人数の全国の推移はゴミ拾い・ビーチクリーンのデータに載せています。
| 年度 | 事業の予算額 | 漂流・漂着ごみの回収・処分経費等 | モニタリング調査事業 | 発生抑制対策事業 |
|---|---|---|---|---|
| 令和5年度 | 3億円 | 2億5,303万円 | 1,300万円 | 3,397万円 |
| 令和6年度 | 3億円 | 2億6,244万円 | 1,590万円 | 2,166万円 |
| 令和7年度 | 3億1,000万円 | 2億6,820万円 | 1,749万円 | 2,431万円 |
| 令和8年度 | 3億1,000万円 | 2億6,820万円 | 1,749万円 | 2,431万円 |
対馬市には、どれだけの海ごみが流れ着き、どれだけ回収しているか
対馬市の第2次環境基本計画(2022年)は、対馬には「立地、海流、季節風、地形の条件が重なり、膨大な量の海ごみが主に海外から漂着」し、「その推計量は年間約2~3万㎥で、国の補助事業を活用しながら毎年約8千㎥回収しています」と書いています(対馬市「第2次対馬市環境基本計画」第2章(ゼロ・ウェイスト))。対馬市が委託した令和6年度のモニタリング調査では、全島の年間漂着量の推計は容量31,500㎥、重量3,561tでした。種類別の容量の割合は、自然木33%、プラスチック類18%、発泡スチロール類14%が上位です。同じ調査は、年間漂着量の33%(容量10,444㎥)が再び海へ流れ出ていると推計しています(対馬市「令和6年度 対馬市海岸漂着物モニタリング調査業務委託 調査報告書【概要版】」(対馬海ごみ情報センターで公開))。
| 項目 | 値 | 時点・出典 |
|---|---|---|
| 年間に漂着する海ごみ(推計) | 約2~3万㎥ | 対馬市 第2次環境基本計画(2022年) |
| 毎年の回収量 | 約8千㎥ | 同上 |
| 全島の年間漂着量(推計) | 31,500㎥・3,561t | 令和6年度 モニタリング調査(対馬市) |
| 全島の年間再漂流量(推計) | 10,444㎥・668t | 同上 |
2017年の日本マリンエンジニアリング学会誌の論文は、対馬市の過去の費用を次のように記録しています。平成22・23年度の2年間は全額国庫補助で約8億円を投じて約22,400㎥を回収し、平成25・26年度の2年間は約10億円(補助率100%)でした。平成27年度は約2.8億円、平成28年度は2.9億円の補助金が交付され、補助率が95%、90%に下がったため、市は平成27年度に1,400万円、平成28年度に3,100万円を一般財源から出したと書いています(「国境離島・対馬の漂着ゴミと環境学習からの啓発活動等について」日本マリンエンジニアリング学会誌 第52巻第5号)。
日本全体で、海ごみの回収・処理には誰がいくら払っているか
環境省の施行状況調査によると、令和6年度に全国で行われた海岸漂着物対策の事業費は5,057,671千円(約50.6億円)で、国庫負担が3,311,092千円、都道府県負担が1,219,279千円、市区町村負担が571,058千円でした。回収量は35,570.7tです。都道府県が行った事業は2,642,040千円・18,864.3t、市区町村(一部事務組合等を含む)が行った事業は2,415,631千円・16,706.3tでした(環境省「海岸漂着物処理推進法施行状況調査結果(令和6年度実績)」)。
| 実施する主体 | 事業費 | うち国庫負担 | うち都道府県負担 | うち市区町村負担 | 回収量 |
|---|---|---|---|---|---|
| 都道府県事業 | 2,642,040千円 | 1,480,701千円 | 1,169,190千円 | 10,891千円 | 18,864.3t |
| 市区町村事業 | 2,415,631千円 | 1,830,391千円 | 50,089千円 | 560,167千円 | 16,706.3t |
| 全国合計 | 5,057,671千円 | 3,311,092千円 | 1,219,279千円 | 571,058千円 | 35,570.7t |
| うち漁業者による回収 | 100,460千円 | 76,323千円 | 15,267千円 | 9,928千円 | 636t |
国の補助金は、どんな仕組みで自治体に配られるか
国は、海岸漂着物処理推進法第29条に基づき、都道府県と市町村が行う海ごみの回収・処理と発生抑制、地域計画の策定に「海岸漂着物等地域対策推進事業」で補助しています。補助率は、回収・処理事業と発生抑制対策事業が9/10~7/10(離島や過疎、半島地域等で嵩上げ)、地域計画策定事業(都道府県のみ)が1/2です。補助を受けるのは都道府県で、市町村の事業は都道府県を通じた間接補助です。環境省の事業紹介では、令和7年度補正予算額は3,800百万円で、ここ数年は当初予算170百万円と補正予算3,525百万円の計3,695百万円の規模で実施してきたと書いています(環境省「海岸漂着物等地域対策推進事業」(令和7年度補正予算の事業紹介))。令和3年度補正予算の資料には、自治体負担分の8割が特別交付税で措置されるとあります(環境省「海岸漂着物等地域対策推進事業」(令和3年度補正予算(案)の事業紹介))。
交付額の決め方について、財務省の予算執行調査は「各自治体からの要望額に対し、環境省において、前年度の交付額や直近の執行実績等を踏まえて設定した基準額を基に、所要の調整を行い交付額を決定している」と書いています(財務省「令和5年度予算執行調査 総括調査票(28)海岸漂着物等地域対策推進事業」)。お金の流れの一例として、令和3年度の1号補正予算(7,888百万円)では、国から41の都道府県へ4,859百万円が交付され、都道府県から市町村への間接補助は528件・2,058百万円でした(環境省「予算の執行状況に係る透明性向上のための情報開示について【一般会計】」)。
| 段階 | 件数 | 金額 | 時点 |
|---|---|---|---|
| 予算額(令和3年度1号補正) | - | 7,888百万円 | 令和3年度 |
| 国 → 都道府県 | 41件 | 4,859百万円 | 同上 |
| 都道府県 → 市町村(間接補助) | 528件 | 2,058百万円 | 同上 |
佐賀県と長崎県では、補助事業でどれだけ回収しているか
環境省の令和7年度の報告書によると、海岸漂着物等地域対策推進事業で回収された漂着ごみは、令和6年度に佐賀県で425.2t(清掃294回、延べ1,011.4km)、長崎県で2,300.4t(清掃635回、延べ868.9km)でした。長崎県の回収量は佐賀県の約5.4倍です(当法人計算)。佐賀県では別に、漂流ごみ・海底ごみを9回・92.0t回収しています(環境省「令和7年度 海洋ごみの実態把握及び効率的な回収に関する総合検討業務 報告書」)。
| 年度 | 佐賀県 清掃回数 | 佐賀県 回収重量 | 長崎県 清掃回数 | 長崎県 回収重量 |
|---|---|---|---|---|
| 2018年度 | 71回 | 365t | 496回 | 1,711t |
| 2019年度 | 85回 | 191t | 544回 | 2,098t |
| 2020年度 | 115回 | 657t | 598回 | 2,300t |
| 2021年度 | 108回 | 743t | 552回 | 2,199t |
| 2022年度 | 102回 | 356t | 563回 | 2,436t |
| 2023年度 | 295回 | 282t | 553回 | 2,333t |
| 2024年度 | 294回 | 425.2t | 635回 | 2,300.4t |
唐津市の海岸は、佐賀県の計画でどう位置づけられているか
佐賀県の海岸漂着物対策推進地域計画(令和7年9月)は、唐津市・玄海町・伊万里市の松浦沿岸を重点推進区域とし、玄海国定公園区域内の海岸線などを対象にしています。地域住民の参加など目指す管理体制に近い取り組みがある「モデル地区海岸」は県内に10か所あり、そのうち7か所が唐津市の海岸です(唐津港海岸東の浜地区~浜崎漁港海岸浜崎地区、唐津港海岸西の浜地区、幸多里海岸、唐津海岸相賀地区、立神海岸、大友海岸、鎮西海岸波戸地区)(佐賀県「佐賀県海岸漂着物対策推進地域計画」(令和7年9月))。環境省の漂着ごみ組成調査では、佐賀県の調査地点は唐津市の幸多里海岸です(環境省「漂着ごみ組成調査データ取りまとめの結果について(令和6年度)」)。
当法人が唐津で主催・共催したビーチクリーンの参加者は、累計3,313名です(2026年4月時点、当法人の活動記録。データで見る唐津の海ごみ・ビーチクリーン活動)。
対馬の海ごみを、回収・処分で終わらせない取り組みはあるか
当法人がディレクターを務める対馬WAVEプロジェクトは、対馬の海岸で回収された海洋プラスチックを、アートやプロダクトの素材に変える取り組みです。
よくあるご質問(FAQ)
Q1. 海ごみの回収・処理には、いくらかかっていますか?
環境省の施行状況調査では、令和6年度の全国の海岸漂着物対策の事業費は5,057,671千円(約50.6億円)で、回収量は35,570.7tでした。負担は国庫3,311,092千円、都道府県1,219,279千円、市区町村571,058千円です。
Q2. 対馬市の海ごみ対策の予算はいくらですか?
対馬市の令和8年度当初予算の「海岸漂着物等地域対策推進事業」は3億1,000万円で、漂流・漂着ごみの回収・処分経費等が2億6,820万円、モニタリング調査事業が1,749万円、発生抑制対策事業が2,431万円です。令和5年度と令和6年度は3億円、令和7年度は3億1,000万円でした(対馬市)。
Q3. 海ごみの回収に使える国の補助金はありますか?
環境省の「海岸漂着物等地域対策推進事業」があります。補助を受けるのは都道府県で、市町村の事業は都道府県を通じた間接補助です。補助率は回収・処理と発生抑制が9/10~7/10(離島や過疎、半島地域等で嵩上げ)、地域計画の策定が1/2です。令和7年度の補正予算額は3,800百万円です(環境省)。
Q4. 佐賀県では、海ごみをどれだけ回収していますか?
国の補助事業で回収された漂着ごみは、令和6年度に佐賀県で425.2t(清掃294回)でした。2018年度以降では、2021年度の743tがもっとも多い年です。長崎県は令和6年度に2,300.4tでした(環境省)。
Q5. 対馬には、どれだけの海ごみが流れ着きますか?
対馬市の第2次環境基本計画(2022年)は年間約2~3万㎥と推計し、毎年約8千㎥を回収していると書いています。令和6年度のモニタリング調査では、全島の年間漂着量を容量31,500㎥、重量3,561tと推計しています(対馬市)。
出典台帳
数字を読むときの注意
対馬市の値は当初予算の額で、補正予算と決算額は含みません。施行状況調査の事業費は、国の補助事業と都道府県・市区町村の単独事業を合わせた値で、負担額の合計は事業費の合計と一致しません(資料の記載どおり)。回収量は、環境省の報告書(重量t)と対馬市の資料(容量㎥)で単位が違い、そのまま比べられません。佐賀県・長崎県の回収量は海岸漂着物等地域対策推進事業によるもので、ボランティアや民間団体が独自に回収した分は含みません。年間漂着量は調査地点の回収量から全島を推計した値です。
このページで扱っていないこと
都道府県ごとの補助金の交付額(今回は一次資料で確かめられなかったため)、佐賀県と唐津市の海ごみの回収・処理の予算額と決算額(今回は一次資料で確かめられなかったため)、長崎県の県としての予算額、海ごみの1トンあたりの回収・処理の費用(海洋プラスチックのリサイクルのデータに掲載)、海ごみの中身の内訳、個々の事業者や団体の評価は扱っていません。
このページのデータの引用・ご相談
このページの数字の引用や、地域のデータの調べ方のご相談は、お問い合わせフォーム、またはinfo@karatsu-f-f.comからお寄せください。
このページについて
作成:小嶋宏明(NPO法人唐津Farm&Food 副理事)/お問い合わせ:info@karatsu-f-f.com(お問い合わせフォーム)/公開:2026年11月6日/Markdown版:umigomi-cost-data.mdこのページはAIと一緒に作っています。作り方はこのデータバンクとAIをご覧ください。
関連リンク
▶ Karatsu Data Bank(唐津データバンク)
▶ 海洋プラスチックのリサイクルのデータ
▶ ゴミ拾い・ビーチクリーンのデータ
▶ データで見る唐津の海ごみ・ビーチクリーン活動
▶ 対馬WAVEプロジェクト
▶ The Cost of Collecting Marine Litter (English)
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