海洋プラスチックアートプロジェクト

Tsushima WAVE Project

対馬の海岸に漂着した大量の海洋プラスチック

対馬WAVEプロジェクト|海のごみをアートに変える

子どもたちが、海でごみを拾わなくていい未来へ。

WAVEという名前には、海の「波」だけでなく、人と人がつながる「輪」、そして小さな行動が大きなうねりとなって広がっていくことへの願いが込められています。対馬WAVEプロジェクトは、日本有数の海洋プラスチック漂着地・長崎県対馬市を舞台に、浜に流れ着いたプラスチックを回収・処分で終わらせず、アートへ変えていくプロジェクトです。完成した作品は対馬の港に立ち、島を訪れる人々を最初に迎える存在になります。

WAVEの作品は、海が抱えきれなかったものから生まれます。だから私たちは、この材料がいつか見つからなくなる日を、心から待っています。アップサイクルは、その日までの橋。ごみを巡らせ続ける社会ではなく、そもそも海にごみが流れ込まない社会へ——この想いは、私たちが唐津で続けてきたPrecious Plasticの活動と、まっすぐにつながっています。

対馬の海岸でのビーチクリーン活動
対馬の海岸でのビーチクリーン。回収はすべての出発点であり、誰もが参加できるプロジェクトの入口です。

対馬の浜で|この光景を、子どもたちの原風景にさせない

対馬の浜のなかには、砕けたプラスチックが幾重にも積もり、足を踏み入れるとふかふかと沈む場所があります。きらきらと光るその正体は、波に砕かれたプラスチックのかけらです。この光景を、対馬の子どもたちの「原風景」にさせない——対馬で海と向き合い続ける仲間たちと、私たちが分かち合っている想いです。

周囲約900キロ、日本海の入り口に位置するこの国境の島は、"日本一海ごみが流れ着く島"とも言われます。対馬市によれば、海流に乗って年間約4万立方メートル—25mプール約100杯分—もの海ごみが海岸に漂着します。漂着ごみの約7割は、海を越えて流れ着いた海外由来の「越境ごみ」。市の予算と国の補助金をあわせて年間約2.8億円を投じても、回収・処理できるのは全体の約3割にとどまります。入り組んだリアス式の海岸は人も重機も近づきにくく、回収が追いつかない構造的な課題を抱えています。

対馬のリアス式海岸に幾重にも漂着した海洋プラスチックごみ
幾重にも海ごみが積もる対馬の浜。入り組んだ海岸は人も重機も近づきにくく、回収を阻みます。

そして対馬の海は、対馬暖流を通じて唐津の海とつながっています。対馬の問題は、唐津の問題でもある—2020年の設立以来、唐津で海洋プラスチックと向き合ってきた私たちが、2023年から対馬に通い続けているのは、その実感があるからです。ごみを隠すのではなく、ごみの行き先を見せる。浜のプラスチックが美しいものに生まれ変わる道筋を、誰の目にも見えるかたちでつくる——それがWAVEの出発点です。

対馬の海洋プラスチックから再生したシートプレス建材の試作品
対馬の海洋プラスチック100%のシート建材試作。漂着ごみの色がそのまま、断面にまで二つとない模様になります。

ごみが作品になるまでの旅

現在、回収された素材の多くは島外へ運ばれて素材化・製品化されるため、輸送コストがかかるうえ、そこで生まれた付加価値までも島外へ流出し、島に利益が残りにくい構造があります。そこでWAVEプロジェクトでは、漂着プラスチックごみの回収から製品化までを対馬で一気通貫できる仕組みをつくり、価値も雇用も利益も島内に残すことを目指します。ただのリサイクル品ではない、物語を持つ唯一無二のプロダクトへ。対馬の海岸で回収されたプラスチックは、ムツミ工業株式会社のプレス技術で海洋プラスチック100%のシートに成形され、アートやプロダクトの素材に生まれ変わります。

博多人形師・中村弘峰氏のポートレートと、対馬の漂着現場を視察する様子
博多人形師・中村弘峰氏(左)。2026年2月末、漂着ごみであふれる対馬の海岸を視察しました(右)。
中村弘峰氏による博多人形の動物作品群
中村弘峰氏の作品。伝統の意匠と現代の造形が同居する、唯一無二の世界(ご本人提供)。
中村弘峰氏による博多人形のミャクミャク
大阪・関西万博 公式キャラクター「ミャクミャク」の博多人形(中村弘峰氏 作・ご本人提供)。

アートの力|博多人形師・中村弘峰氏とともに

アート制作を担うのは、博多人形師・中村弘峰氏(中村人形四代目、ギャラリー「傀藝堂」主宰)。1986年福岡市生まれ。東京藝術大学大学院で彫刻を修めたのち(父・中村信喬氏に師事)、創業大正6年の「中村人形」を継ぎました。日本工芸会正会員として、日本伝統工芸展 朝日新聞社賞(2023年)、福岡市文化賞(2025年)などの受賞を重ね、「もしも江戸時代の腕の良い人形師が現代にタイムスリップしてきたら」—その発想から、野球選手の五月人形など、いまを生きる人のための作品を生み出し続けるアーティストです。大阪・関西万博の公式キャラクター「ミャクミャク」の博多人形制作などでも知られています。その目は、つねに現代を見ています。

そして、中村氏の曾祖母は対馬の出身。この島の海と素材に向き合う、文化的な必然性を持っています。

Desa Potato Head Bali
FUTURA2000(フューチュラ)による廃プラスチックの巨大パブリックアート(バリ島・Desa Potato Head)

NPO法人唐津Farm&Foodが視察したバリ島のサステナブルホテル「Desa Potato Head」では、ニューヨークのアーティスト・FUTURA2000(フューチュラ)が廃プラスチックから制作した巨大パブリックアートが、世界の注目を集めています。

海洋プラスチックのアートは、いま世界の共通言語になりつつあります。そのなかで、「人形は『人』の祈りを『形』にしたもの」という日本の文法から生まれる作品は、世界のどこにもないものになる—私たちはそう確信しています。

EXPO2025 大阪・関西万博 BLUE OCEAN DOMEでの波絵馬ワークショップ
EXPO2025 大阪・関西万博 BLUE OCEAN DOME での波絵馬ワークショップ
大阪・関西万博「対馬ウィーク」で展示された廃プラスチックの波絵馬
大阪・関西万博「対馬ウィーク」で展示された波絵馬。対馬の廃ペットボトルキャップから生まれ、海の神様「おとーしゃ」の物語とともに、海の未来への願いが書き込まれました。

ヤマショウビンから、波絵馬、そしてWAVEへ|物語は続いている

このプロジェクトは、突然始まったものではありません。2022年11月、対馬市と株式会社博多大丸がSDGsに関する包括連携協定を締結。それをきっかけに、私たちは大丸の九州探検隊・対馬市とともに「海ごみアートプロジェクト」を立ち上げ、対馬で回収された海洋プラスチックをタイルに成形し、西部中学校や対馬高校の生徒、市民の皆さんと、対馬の象徴である渡り鳥「ヤマショウビン」のアートを共同制作しました。ごみが、みんなの手で美しいものに変わる——その最初の体験が、すべての原点です。

2025年の大阪・関西万博では、対馬の海を守る神様「おとーしゃ」の物語とともに、対馬で回収されたペットボトルキャップから波絵馬を制作。来場者が海の未来への願いを書き込み、唐津の離島・馬渡島や小川島、加唐島の生徒たちの絵馬も並びました。絵馬がひとつ完成するたびに、会場に拍手が起きました。

2026年、海洋プラスチック100%のシート建材の試作が完成。そして7月20日・海の日、実行委員会のもとプロジェクトが公式に始動——タイルから絵馬へ、絵馬から港に立つアートへ、物語は次の章に入りました。

海ごみアートプロジェクト|ヤマショウビンのタイルアートはこちら
大阪・関西万博 BLUE OCEAN DOME「波絵馬」の記録はこちら

ヤマショウビンの海ごみタイルアートとWAVEプロジェクトの関係者
対馬を訪れたプロジェクトの仲間たち。背後のタイルアートは、対馬の海ごみから生まれた渡り鳥「ヤマショウビン」です。

実行委員会、始動|ともに進める仲間たち

2026年7月20日「海の日」、「対馬WAVEプロジェクト 〜地球への恩返し〜」の始動が公式に発表されました。主催は対馬WAVEプロジェクト実行委員会、協力は対馬市と株式会社博多大丸。プロジェクトの円滑な運営と関係者間の連携のため、事務局も設置されています。

WAVEプロジェクトは、それぞれの持ち場で力を持ち寄る実行委員会のかたちで進んでいます。実行委員長は株式会社博多大丸の箱崎氏。対馬市、長年浜の回収を担ってきた一般社団法人対馬CAPPA、シート成形のムツミ工業株式会社など、流通・行政・地域・製造・アートの仲間が、ひとつの物語を分担しています。

NPO法人唐津Farm&Foodは、プロジェクト全体のディレクションと、Precious Plasticで培ったリサイクルの技術支援、現場のコーディネートを担います。2020年から唐津で積み重ねてきたアップサイクルの実践(累計参加者25,971名・回収プラスチック3,026kg)を、漂着の最前線・対馬で生かします。

対馬WAVEプロジェクト キービジュアル「地球への恩返し give back to the earth」
対馬WAVEプロジェクトのキービジュアル。「地球への恩返し give back to the earth」(対馬WAVEプロジェクト実行委員会)
対馬市庁舎で、対馬の海洋プラスチックから生まれたシート建材を手にするプロジェクトの仲間たち
対馬市庁舎にて。対馬の海ごみから生まれたシート建材を手に。左から、未来環境部長、対馬市長、副市長、博多大丸のみなさん、唐津Farm&Food(Precious Plastic 唐津)

関係者コメント(公式発表より)

「対馬は古来、海を通じて大陸と日本を結ぶ『国境の島』として歴史を刻んできました。その海がいま、世界中のごみが流れ着く最前線となっています。本プロジェクトは、この課題を対馬だけの問題とせず、島を訪れる方々や都市の生活者とともに考える『創造の回路』へと変えていく挑戦です。」

対馬市長比田勝 尚喜 氏

「2022年のSDGs包括連携協定以来、対馬市の皆様と取り組んできた対馬の海洋ゴミの現状を広く知っていただく活動が実り、次のステージへ移せたことを大変嬉しく思っています。深刻な海洋ゴミを親交ある中村弘峰先生の手でARTに作り替えて頂くことで、全国の皆さんに対馬の海の現状と、これからどういう行動をしないといけないのかを考えて頂く一助になればと思います。」

株式会社博多大丸 代表取締役社長村本 光児 氏

「対馬の海洋プラスチックごみは、それ自体が非常に深刻な問題であると同時に、世界中の海が抱える汚染の『氷山の一角』でもあります。地球環境が悪化していけば、私が受け継いできた伝統工芸を未来へとつないでいくことも、いつか難しくなってしまう。それは決して他人事ではありません。そして、私の曽祖母は、対馬の人でした。この島のためにできることを、少しでも形にできたなら。そう願い、このプロジェクトに参加させていただきたいと思っております。」

中村人形 四代目中村 弘峰 氏

この物語に、加わりませんか|協賛のお願い

WAVEプロジェクトは、想いをともにしてくださる企業・団体さまの協賛を募集しています。資金でのご協賛のほか、素材や物資のご提供、技術・加工のご協力、会場・販路のご提供、広報のご協力、ビーチクリーンへのご参加——関わり方は、御社の強みの数だけあります。内容に応じて個別にご相談のうえ、いちばん力を発揮いただける形をご一緒に考えます。

よくあるご質問

Q1. 対馬WAVEプロジェクトとは何ですか?

日本有数の海洋プラスチック漂着地である長崎県対馬市を舞台に、浜に流れ着いたプラスチックを回収・処分で終わらせず、洗浄・細断・シート成形を経て、博多人形師・中村弘峰氏の手でアートへ変えていくプロジェクトです。2026年7月20日・海の日、対馬WAVEプロジェクト実行委員会(協力:対馬市・株式会社博多大丸)として公式に始動しました。完成した作品は対馬の港に立ち、島を訪れる人々を迎えます。WAVEという名には、海の「波」、人と人がつながる「輪」、そして小さな行動が大きなうねりとなって広がっていく願いが込められています。

Q2. 協賛するとどのような関わり方ができますか?

資金協賛のほか、素材・物資のご提供、技術・加工のご協力、会場・販路のご提供、広報のご協力、ビーチクリーンへのご参加など、企業・団体さまの強みに応じた多様な関わり方があります。内容に応じて個別にご相談のうえ、最適な形をご提案します。まずは協賛フォームよりお気軽にお問い合わせください。

Q3. 個人でも参加できますか?

はい。対馬で行われるビーチクリーンや、関連イベント・ワークショップには個人の方もご参加いただけます。開催情報は当法人のSNSやウェブサイトでお知らせします。また、海洋プラスチックのアップサイクル体験は唐津のPrecious Plastic唐津でも通年で実施しています。

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