ネイチャーポジティブ 自然共生サイト

Green Infrastructure

グリーンインフラ 横枕 里山

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九州・横枕から始める、ネイチャーポジティブ・エコノミー

NPO法人唐津Farm&Foodは、佐賀県初の環境省認定 自然共生サイト(OECM)「相知町横枕自然共生区域」を拠点に、自然のしくみを生かすグリーンインフラ(Green Infrastructure)の実践に取り組んでいます。

私たちが目指すのは、自然を守るだけでなく「自然とともに地域が豊かになる経済」——ネイチャーポジティブ・エコノミーです。横枕での実践を、他地域でも再現できるモデルとして整え、九州から各地へ広げていくことを目標にしています。

唐津Farm&Foodは、国土交通省の「グリーンインフラ官民連携プラットフォーム」の会員として、自然環境が持つ多様な機能(防災・減災、生物多様性の保全、良好な景観、気温上昇の抑制など)を地域づくりに生かす取り組みを進めています。

横枕の里山を流れる清流 小型水力発電
横枕の里山を流れる清流。この水の流れを生かした小型水力発電で電気柵を動かし、獣害対策と里山保全を進めます。

2026年に構築する統合モデル|小型水力発電 × 獣害対策 × 生物多様性

横枕のような中山間地では、イノシシなどによる獣害が深刻で、農地や里山の生態系、農業生産の基盤が損なわれています。一方、電源の確保が難しい山間部では、電気柵を広い範囲に設置・維持するコストが大きな壁になっています。

そこで私たちは、里山の自然エネルギーである小型水力発電で電気柵を安定的に動かし、獣害対策と生態系の回復・農地保全を同時に進める統合モデルを構築します。電気柵 × 小型水力発電 × 生物多様性モニタリング × 地域参加型の里山管理を一体で行い、脱炭素と生物多様性保全を両立させます。

この取り組みは、独立行政法人環境再生保全機構(ERCA)の「地球環境基金」助成を受け、2026年度に「地域再エネ導入による獣害対策と里山保全モデル事業」として実施します。調査方法・設備の仕様・維持管理の手順を整理し、市町村・NPO・集落へ展開できる“横展開可能なモデル”として記録・公開していきます。

獣害対策と里山保全を進める横枕の現場
獣害対策・農地保全・生物多様性モニタリングを一体で進める横枕の現場。地域とともに、持続可能な里山管理を目指します。

科学に基づくモニタリング|佐賀大学・徳田教授との連携

モデルの土台になるのが、生物多様性の継続的なモニタリングです。横枕では、佐賀大学農学部・徳田教授をはじめとする専門家と連携し、サンショウウオなどの指標種や植生の変化を記録しています。地域の人・高校生・大学生・海外ボランティアも加わり、誰もが参加できる調査体制を育てています。

科学的な裏づけのあるデータを積み重ねることが、保全の効果を測り、その成果を他地域へ展開する際の“共通言語”になります。

佐賀大学 徳田教授 横枕 生物多様性調査
佐賀県自然史研究会 春の観察会 in 横枕。佐賀大学・徳田教授を中心に、地域住民・専門家・子どもたちが集いました。

環境省「生物多様性保全推進支援事業」に採択|モニタリングの高度化へ

2026年8月3日、環境省の令和8年度 生物多様性保全推進交付金(生物多様性保全推進支援事業)の採択結果が公表され、当会の「相知町横枕自然共生区域 生物多様性モニタリング高度化・地域主体管理体制構築プロジェクト」が採択されました(採択事業一覧 No.28/事業メニュー(2)生物多様性増進活動実施強化/実施期間 令和8年度)。全国の採択104件(新規40件・継続64件)のうち、佐賀県からの新規採択は横枕の本プロジェクトのみです。

このプロジェクトでは、これまで地域の経験に支えられてきた横枕のモニタリングを、科学的根拠に基づく体系へと高度化します。佐賀大学と連携した調査設計のもと、哺乳類・水生生物・昆虫などの多面的な生物調査を行い、住民・高校生・大学生が参加できる講習会と手順書を整えて、事業終了後も地域主体で調査を続けられる体制をつくります。調査データからは、横枕の環境に適した生態系管理の指標(横枕モデル)づくりを進め、九州の自然共生サイト同士の学び合いにもつなげていきます。

小型水力発電×獣害対策の統合モデル(ERCA地球環境基金助成)と、この生物多様性モニタリングの高度化(環境省交付金)。「守る仕組み」と「測る仕組み」の両輪が、同じ年に横枕で動き出します。

環境省 報道発表「令和8年度生物多様性保全推進交付金(生物多様性保全推進支援事業)の採択結果について」(2026年8月3日)
環境省「生物多様性保全推進支援事業(交付金)」制度ページ

世界とつながる、横枕のネイチャーポジティブ

横枕は、世界的な生態系再生のムーブメント「生態系再生コミュニティ(ERC/Ecosystem Restoration Communities)」の、日本で最初のコミュニティです。フランスからのボランティアが滞在し、里山の再生活動をともにするなど、小さな里山が世界と直接つながっています。

また、大丸福岡天神店との「ネイチャーポジティブクリスマス」(協力)では、立命館アジア太平洋大学(APU)の多国籍の学生とともに、九州の自然共生サイトの価値をアジア・世界へ発信しています。対馬の海洋プラスチック問題に取り組む取り組みや、大阪・関西万博での発信など、九州からアジア、そして世界へとつながる輪が広がっています。

2026年7月14〜16日には、熊本市(熊本城ホール)で「Global Nature Positive Summit 2026(GNPS)」が開催されます。Nature Positive Initiativeが主催し、2024年のシドニーに続く第2回として、世界中からネイチャーポジティブ(自然再興)の実践が集う国際会議です。九州が世界の注目を集めるこの機運のなかで、私たちは佐賀県初のOECM・横枕から、九州発のネイチャーポジティブの実践を積み重ねていきます。

また、横枕で取り組む唐津ミツバチプロジェクトは、2027年に横浜で開催される「GREEN×EXPO 2027(2027年国際園芸博覧会)」の全国連携プログラムに登録された活動です。

ネイチャーポジティブ・自然共生サイト 横枕の取り組みはこちら
大丸福岡天神店「ネイチャーポジティブクリスマス」はこちら

フランスから横枕に滞在するERCのボランティア
フランスから横枕に滞在するERCのボランティア。一度訪れた人が次の誰かを連れてくる連鎖が、小さな里山と世界をつないでいます。

「自然を活用した解決策(NbS)」としての横枕

横枕で進めている統合モデルは、国際的に「自然を活用した解決策(NbS:Nature-based Solutions)」と呼ばれるアプローチの実践です。NbSは、自然が有する機能を持続可能に利用し、多様な社会課題の解決につなげる取組で、2022年の国連環境総会(UNEA5.2)で国際的な定義が決議されました。日本では2026年(令和8年)7月、環境省が「自然を活用した解決策(NbS)の手引き」を発行し、地域でNbSを進めるための「5つのポイント」と、IUCNの世界標準と整合する「日本版NbS基準」を示しています。

この「5つのポイント」に沿って横枕の取り組みを整理すると、次のようになります。

  • ① 統合的に対応する前提で、社会課題を整理する|横枕が向き合うのは、獣害、高齢化(住民約90人・平均年齢約70歳)、山間部の電源確保、生物多様性の損失という、互いにつながった課題です。一つずつではなく、まとめて解く設計にしています。
  • ② 自然の多様な機能を引き出す|森林・水田、そして約200年前から地域を潤してきた井堰。里山を流れる水を小型水力発電に生かし、電気柵の電源として獣害対策につなげます。
  • ③ 自然環境の保全・再生に貢献する|佐賀県初の環境省認定 自然共生サイト(令和5年度後期)から、地域生物多様性増進法の認定(2025年度第1回)へ移行し、認定された価値は1つから3つに広がりました。計画は2年ごとに点検・5年ごとに改定し、モニタリングを続けます。
  • ④ 多様な主体の参画を促進する|横枕区民、NPO、佐賀大学、唐津南高校、海外ボランティア(ERC)。市民参加型の調査体制で、誰もが保全の担い手になれます。
  • ⑤ 取組の持続性を確保する|ERCA地球環境基金助成(2026年度)に加え、環境省の令和8年度 生物多様性保全推進支援事業(生物多様性増進活動実施強化)に採択され、生物多様性モニタリングの高度化を進めています。

NbSの語彙で語り直すと、横枕という小さな里山の実践が、生物多様性・地域経済・脱炭素という複数の課題に同時に応える取組であることが見えてきます。私たちはこの視点で取り組みを点検しながら、横枕のモデルを磨いていきます。

これから|横枕のモデルを、各地へ

私たちは、横枕で確立していく「再エネ × 獣害対策 × 生物多様性 × 地域参加」のモデルを、地域ごとの自然条件や文化を尊重しながら、他の自然共生サイトや里山へと広げていく方針です。自治体・企業・地域の皆さまと力を合わせ、実装と発信を同時に進めます。

自然と共に生きる地域づくり——ネイチャーポジティブ・エコノミーの実践を、九州から、そしてアジア・世界へと届けていきます。

関心のある方へ

横枕の取り組みや、グリーンインフラ・自然共生サイトの実践に関心のある自治体・企業・団体・教育機関の皆さま、また一緒に活動したい方は、下記のお問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。ご関心や地域の状況に応じて、個別にご相談させていただきます。

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