小さな島の一言から、クジラが空を飛んだ
「OGAWA PROJECT フライングディスク」は、唐津市の離島・小川島の「おがわプロジェクト」から生まれたフライングディスクです。2026年10月、最初の100枚ができあがりました。
素材には、対馬・小川島・福岡沿岸で集めたペットボトルキャップを砕いて配合しています。成形と印刷は和歌山のDolphin Papaさん。ディスクのクジラは、おがわプロジェクトのメンバーが描きました。
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「続けることが大事なんじゃないか」
2025年10月、小川島の中学2年生がインターンとして当法人に来てくれました。2日間で、プラスチックを細かく砕く工程や射出成形を体験し、自然共生サイト横枕も一緒に歩きました。
その2日間で聞いたのが、この言葉です。
「持続可能な島にするには、続けることが大事なんじゃないか」
彼女と初めて会ったのは2022年。小川島でワークショップをしたとき、まだ小学5年生でした。あのときの子が、4年後に「続けること」を口にした。この一言で、おがわプロジェクトはもう一度動き出しました。
2026年のお正月、3人で小川島の浜へ
2026年のお正月、小川島の浜で。真ん中がインターンに来てくれた中学生、両側は2023年からおがわプロジェクトに関わってきたメンバーです。島を出て高校生になったメンバーも、「小川島を盛り上げたい」と、また島に集まりました。
3人の後ろの浜にも、流れ着いたごみが見えます。
2022年、マシンを船に積んで小川島へ
はじまりは2022年9月8日。Precious Plastic 唐津のマシンを呼子港から運び、小川島の小川小中学校でワークショップを開きました。唐津南高校 虹ノ松原プロジェクトチーム 海洋研究班、海と日本プロジェクト in 佐賀と一緒です。
小川島は周囲4kmの小さな島。捕鯨で栄えた歴史があり、いまもその名残が島のあちこちにあります。この日は小中学生9人がプラスチックのリサイクルを体験し、みんなで島の磯へ行って、流れ着いたごみを調べました。
ごみの多くは海外から来たものです。場所が磯なので、島の子どもたちや島の人たちだけでは拾いきれません。小さな島が、海の向こうから来るごみを受け止めていました。
島のみんなで、浜をきれいに
2023年4月28日には、小川中学校の生徒たちが中心になって、海岸の漂着ごみを回収・調査しました。生徒たちの呼びかけに、小学生や島の人たち、佐賀県・唐津市の方々も加わり、ごみで汚れていた海岸は見違えるようにきれいになりました。
集めたごみは重さや種類を調べ、「漂着ごみを減らすために、自分たちに何ができるか」を話し合いました。
4人から始まった「おがわの輪」
2023年、小川中学校の生徒4人が「おがわの輪を広げたい」と、おがわプロジェクトを始めました。佐賀県循環型社会推進課「プラスマLIFEさが」の取り組みです。
テーマは「島の未来のために、小川島の現状を発信して協力の輪を広げよう‼」。黒板に書いた「おがわ」の「わ」は、島を描いた輪です。
1枚の絵から、クジラのタイルアートへ
モチーフに選んだのは、捕鯨の島・小川島にゆかりのあるクジラ。生徒の1人が描いたこの絵をもとに、モザイクアートの図案をつくりました。
このクジラは、のちにキーホルダー「The Whale」になり、2026年にはフライングディスクのクジラにつながっていきます。
キャップを集めて、洗って、タイルに
4人は、コロナ禍で使わなくなったアクリル板でキャップの回収箱をつくり、唐津市役所、唐津南高校、博多大丸、呼子市民センター、周りの島々などに置きました。
集まったキャップを洗って細かく砕き、島に漂着したプラスチックごみと一緒に、Precious Plasticのマシンでタイルに成形。先生も加わって、1枚ずつクジラの形に貼り合わせていきました。
クジラの完成と、タイルに書かれた言葉
クジラの海ごみアートは、2023年9月30日の小川島アイランドフェスで完成しました。まわりに並ぶ星やハートも、リサイクルしたプラスチックでつくったものです。そこに、生徒たちや、アートづくりに関わった人たちが海への思いを書きました。
「小川の海をいつまでもきれいに!!」
「海を大切にしようと思う人が1人でも増えてほしい」
「世界中が『自然を守る』という気持ちを持てますように」
「ゴミがすてきな作品に変身してます!!」
アートはその後、佐賀県民ホール、佐賀県立美術館、唐津市役所などで展示されました。
知事に書いていただいた言葉
2023年10月25日、生徒たちと一緒に、おがわプロジェクトの活動報告のため佐賀県知事を表敬訪問しました。その際、リサイクルしたハートに次の言葉を書いていただき、県民ホールに展示されたクジラに貼りました。
「海をいつまでも美しく 地球をずっと大切に 小川島から」(佐賀県知事 山口祥義)
クジラは The Whale になって、海を越えた
生徒たちのクジラは、キーホルダー「The Whale」になりました(2024年10月)。廃ペットボトルキャップをPrecious Plasticの射出成形機でアップサイクルしたもので、マーブル模様はひとつずつ違います。唐津のお土産として、いまも海外へ旅をしています。
輪は、加唐島へ、馬渡島へ、高島へ
キーホルダーは小川島でお披露目し、小川島の子どもたちと、加唐島の生徒たちにプレゼントしました。
4人が始めた取り組みは、そこで止まりませんでした。プラスマLIFEさがの取り組みは、2024年は加唐島、2025年は馬渡島、そして2026年は高島へ。唐津の島から島へ、輪がつながっています。このディスクも、今年の高島で子どもたちと使います。
同じ手が描いた、波しぶきのクジラ
再始動のテーマは、海のプラスチックでフライングディスクをつくり、島のみんなで実際に遊ぶところまで。
ディスクのクジラを描いたのは、2023年にタイルアートのクジラを描いたメンバーです。3つの案から、2026年1月30日から2月11日までの投票で選ばれたのが、波しぶきの中を跳ねるこのクジラでした。
キャップを砕いて、1枚のディスクへ
ディスクの材料も、ペットボトルキャップです。対馬・小川島・福岡沿岸で集めたキャップを細かく砕き(リグラインド材)、和歌山のDolphin Papaさんの工場で、廃棄されるLDPEに配合して成形しました。
対馬のキャップは、大阪・関西万博のときの波絵馬づくりで余った分を使っています。島で集めたキャップが、いくつもの場所を回って、1枚のディスクになりました。
SILENT WORLD GREEN
届いた100枚は、深い緑色でした。色とりどりのキャップが混ざり合って生まれた、この100枚だけの色です。
海に出たプラスチックの多くは、行方がわかっていません。細かくなって、深海へ沈んでいると考えられています。光の届かない、静かな海の深淵。私たちはこの緑にその色を重ね、海洋探検家ジャック=イヴ・クストーの『沈黙の世界』(本は1953年、映画は1956年)への敬意を込めて、「SILENT WORLD GREEN」と名付けました。
2023年、生徒の1人が星に書いた言葉があります。
「海を大切にしようと思う人が1人でも増えてほしい」
クストーの言葉として知られる "People protect what they love."(人は、愛するものを守る) と、同じことを言っています。島を好きになる人が増えれば、島の海を守る人も増えていきます。
つくり手と、ディスクのこと
成形と印刷は、和歌山のDolphin Papaさん(@dolphinpapa2023)。リサイクル素材のフライングディスクをつくっているメーカーです。
大きさは競技用のディスクと同じで、重さは約100g。競技用より軽いディスクです。表には「海を守ろう」「SAVE OUR OCEAN」を日本語・英語・韓国語・中国語の4つの言葉で入れ、「Upcycled Northwestern Kyushu Marine Plastic / Made by Karatsu Farm & Food」と印字しています。
素材の正式な表記は「廃棄されるLDPEに対馬・小川島・福岡沿岸のペットボトルキャップ再生リグラインド材配合」です。
どこで手に入る?
KARAE SHOP(唐津市京町・唐津駅から徒歩2分)での取り扱いが決まりました。店頭に並ぶ日は、決まりしだいお知らせします。
メルキュール佐賀唐津リゾート(唐津市東唐津)でも、近く販売を始めます。
SILENT WORLD GREEN は、最初の100枚だけの色です。
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このディスクで、遊んでみませんか
学校や地域の体験会、企業のワークショップで使いたい方、お店で扱いたい方は、お気軽にご相談ください。小川島から始まった物語ごと、お届けします。
English
OGAWA PROJECT Flying Disc, "SILENT WORLD GREEN". This flying disc was born from the OGAWA PROJECT on Ogawa Island, a small former whaling island off Karatsu, Saga, Japan. The first 100 discs were completed in October 2026. They are made of discarded LDPE blended with regrind from PET bottle caps collected on Tsushima, Ogawa Island and the Fukuoka coast, and were molded and printed by Dolphin Papa in Wakayama. The disc is the same size as a sport disc and weighs about 100 g.
In 2023, four junior high school students on Ogawa Island started the OGAWA PROJECT to "widen the circle of Ogawa," as part of Saga Prefecture's "Plasma LIFE Saga" program. From a student's drawing, they made a whale mosaic out of recycled plastic tiles, which later became our keychain "The Whale." The program then moved on to Kakara Island (2024), Madara Island (2025) and Takashima Island (2026). In 2025, a junior high school student from Ogawa Island told us during her internship that "to keep the island sustainable, it matters to keep going." Those words restarted the project, and the member who drew the whale in 2023 drew the whale on this disc.
Caps of many colors melted together into a deep green, a color found only in these first 100 discs. Thinking of the quiet, lightless abyss of the sea, we named it SILENT WORLD GREEN, in tribute to Jacques-Yves Cousteau's "The Silent World."
関連リンク
▶ 小川島 おがわプロジェクト(海ごみアート・2023年)
▶ The Whale クジラキーホルダー
▶ Precious Plastic 唐津
▶ 海ごみアートプロジェクト